【T.Tさんインタビュー】「ハードだけどハートフル」乳幼児を抱えた1年半の挑戦

【T.Tさんインタビュー】「ハードだけどハートフル」乳幼児を抱えた1年半の挑戦

【第2回 中小企業診断士に必要な「理解」とは】
過去の記事:第1回

【T.Tさんインタビュー】

育児休業中に中小企業診断士を目指し1次試験を1回で合格。職場復帰後に受験した2回目の2次試験で見事合格を勝ち取ったT.Tさん。忙しさの中で、どのような勉強をしたのか。また、これまでの彼女の「学びの遍歴」から「診断士業務に必要なことは何か」を語ってもらった。

スピード合格の良し悪し

1次試験は、勉強期間わずか4か月のスピード合格だった。その勝因を「高得点を狙わずに、全部65点くらいを取れるようにしたこと」と分析する。細かい論点は詰めずに重要論点のみつぶしていくことを意識した。特に苦手だった経営法務の科目は、公務員試験受験の経験から「最小限だけノートに簡単にまとめ、それ以上は深入りしない」ことで乗り切った。子どもを背負ったままでも聞ける「暗記系動画」は重宝したという。「わからない問題を重点的に復習し、時間短縮しながらも合格点を確保する」という戦略で効率的に勉強を進めていった。

努力と戦法が功を奏し1次試験を突破するも、2次試験に関しては未知の領域で、着手したのは「自己採点をした日」。一緒に合格した夫と再び並走していくことになる。ところが、2次試験に合格したのは夫のみ。T.Tさんは惜しくも不合格だった。「敗因はしっかりわかっていました。参考書の模範解答を見て何となく書き写して、これが何点でこれが何点で…というのを詰め込むところまではいったのですが、本質の理解ができていなかった。精度の悪いAIみたいな感じ」。この分析をもとに彼女は1次試験のテキストを改めて購入し、再度基礎から勉強を始める。「1次試験をおざなりにしていたのが根本にあった。企業経営理論とか運営管理とか、それがもっと『何たるか』を要素から勉強しなおしたら、解答の品質が安定したように感じます」。

応用情報技術者試験にも挑戦

約1年半の勉強期間、特に2回目の2次試験へ向けた勉強中には、モチベーションが下がる時期もあった。1回目の受験後、通信制の資格学校を受講し始めたが、そこの模擬試験でなかなか点数が上がらない。不安になったときには想定問答集の模範解答を一問一答のような形式でひたすら解き、手で覚えることに徹した。

そして彼女は、それだけでは終わらなかった。なんと、並行して応用情報技術者試験の受験勉強も始めていたのだ。「実際に試験を受けたのは2024年の4月だったので、さすがにぶつけてはやらなかったんですけど。なるべく本業や資格同士のシナジーがある方法で勉強しました。ITがわかると仕事も進みましたし、Excelなども好きだったので、趣味を極めるといったところもありますね」。

いくつもの作業を掛け持ちしながら臨んだ2回目の2次試験は無事に合格。晴れて中小企業診断士の肩書を手にした。

「違う文化の人と話す」ような丁寧さと慎重さ

興味深い話がある。実はT.Tさんの大学時代の専攻はフランス文学。学びの経験から、語学と診断士試験についてこう語ってくれた。「語学の勉強というと、まず『単語を覚える』とか『文法を頭に入れる』とかをイメージすると思うんですけど、本当は相手の考え方とか共感とか、もっと細かいことを言うなら『何が食べたい』とか『どうしたい』とかの行動パターンがわからないと、結局『言葉の理解』もあまり進まないと思う。それは中小企業診断士として話すときにも同じではないかと。表面だけで答えるのではなく、言葉の使い方とか、もっと言うなら行動原理とか文化とかそういったところまで理解して、経営者や従業員と同じ目線で話す。これは診断士試験や実務と、語学に共通して必要なことだと考えています」。

熱っぽくこうも付け加えた。「知識が乏しい『A社の社長』にとっては私たちのアドバイスも外国語と同じように聞こえるかもしれません。だからこそ、全然知らない文化の人に接するような丁寧さや慎重さが大切だと思っています」。








宮本咲子

宮本咲子 取材の匠メンバー、中小企業診断士
長崎市出身・在住。大学卒業後、地元の金融機関に就職。4年の勤務の後、結婚による転居のため退職。以降10年程度、専業主婦として国内外の転勤に帯同。その間に出会った中小企業診断士の資格に興味を持ち、勉強を開始。現在は会計事務所の事務員として在宅勤務をしながら、長崎県よろず支援拠点コーディネーター業務にも従事し、創業や事業計画策定などの支援を行っている。一般社団法人長崎県中小企業診断士協会所属。

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