【石川直紀さんインタビュー】ゼロから独学でつかみ取った一発合格

【石川直紀さんインタビュー】ゼロから独学でつかみ取った一発合格

【第1回 ゼロからのスタート】

【石川直紀さんインタビュー】

診断士試験の受験生において、「何か得意分野の知識がもともとないと厳しいのかな、独学では無理なのかな」という不安は大きい。しかし、もともとの基礎知識がなく、かつ独学で、さらに小学生の子供が3人いるという状況でも見事に一発合格を勝ち取った受験生がいる。そんな状況を克服した合格者である石川直紀さんに話を聞きました。

経営知識を得たいと思って始めた中小企業診断士挑戦

――現在はどのようなお仕事をされているのですか?

電気防食という電気を使って金属を腐食から守る製品を扱う会社で勤務しています。金属製のガス管や水道管、港湾施設の岸壁、あるいはプラント施設等の取水口等は、重要度の高いインフラのため電気防食を利用して保護します。

――最近経営企画に異動されたということですが、以前は何をされていたのですか?

営業です。新卒から17年続けました。日本のプラントメーカーやエンジニアリング会社が受注した中東や東南アジア等での発電所等のプロジェクトに当社製品を納入する案件を多く担当しました。

――中小企業診断士を受験したきっかけは何ですか?

私の担当範囲は、社内では特殊な分野で、そこをずっと担当していたので、経験は長いけれども、あまり幅広い知識を持っていないという状態でした。その中で一時期会社の従業員組合に参加していて労使協議に出席したことがあるのですが、経営知識がないから、ただ言いたいことを言うだけになってしまい、経営側に全然相手にしてもらえず非常に悔しい思いをしたという経験があります。

また、部下を持つようになり、教育をする際に、きちんと根拠を持って説明したい、と思うようにもなりました。そこで、経営のことを幅広く学べることに魅力を感じ中小企業診断士の勉強を始めました。

基礎知識のなさを実感

――独学で勉強されていたということですが、どのようにされていたのですか?

中小企業診断士の勉強を始めたときには、まずTACのテキストを買って一通り読みました。ところが、最初は何にもわかりませんでした。私は大学を出ておらず専門的なことを学んだ経験がないため、元々の知識がほとんどありません。3ヵ月ぐらいかけて読み終わったのですが、二周目に読み直すと何も覚えていない。それに愕然として、まずは基本的な知識を補っていくことから始めました。例えば経済学だったら大学生の経済学入門の教科書を読んでみたり、財務会計だったら簿記の三級から始めたり、というように一科目ずつ攻略していきました。

アドバイスを愚直に実行

――工夫をされたこと等はありますか?

勉強カフェというところを月極めで借りて勉強していたのですが、そこのスタッフの方に、「社会人の勉強は過去問ありきだ、とにかく過去問を回せ、テキストは読むな」ということをアドバイスされました。それに従って基本的には過去問しかやりませんでした。あとはスキマ時間をとことん使えと言われて、「スキマ時間というのは移動時間とかそういうのだけではなくて5秒でもあればそれはスキマ時間だ、信号を待っている間でも自分で問題を出して自分で解け」と。そのような話を聞いて、意識改革されました。

――そうやって勉強して、1次試験が終わったときの手ごたえはどうでしたか?

出題頻度ごとにABCランクがある中のAとBの問題だけをひたすら回して、AB問題が8割できれば合格基準である全体の6割はいけるだろうという勝手な公式を作って、気分が悪くなるぐらい過去問をずっと回し続けていたので、これだけやれば6割はいけるだろうというような感覚が自分の中で試験前からできていました。そして、実際に6割ギリギリで合格することができました。


齊藤 慶太

齊藤 慶太 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1983年生まれ。東京都出身。ITコンサルタント、メーカー経営企画・海外拠点駐在を経て現在はIT企業で新規事業やM&A等を担当。2020年中小企業診断士・全国通訳案内士(英語)登録、同年米国公認会計士試験全科目合格。東京都中小企業診断士協会城東支部所属。趣味は将棋(三段)、旅行(旧ソビエト連邦・朝鮮民主主義人民共和国を含む30ヶ国以上を訪問)

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