【加藤昌毅さんインタビュー】2次試験の壁、越えて進む独立診断士の道

【加藤昌毅さんインタビュー】2次試験の壁、越えて進む独立診断士の道

【第1回 家業での経営にいきた診断士資格】

【加藤昌毅さんインタビュー】

2023年6月から独立診断士として活動している加藤昌毅さん。2015年に診断士試験に合格され、家業の役員として奮闘した経験を持っています。第1回は、家業に入った経緯と診断士試験で得た知識がどういった場面で役に立ったかをおうかがいしました。

「父親を助けたい」家業入りを決意

――最初に今までのキャリアについて教えてください。

新卒で税理士向けに会計・税務パッケージを販売する会社に入社しました。法人の新規開拓営業に配属され、案件発掘からクロージングまで一人で担当していました。その後、結婚するタイミングなどもあり、地元の岡山で落ち着いて仕事をしたいと考えて、主にバス会社をターゲットにしているシステム会社へ転職しました。ただ、会社が新規顧客拡大に力を入れていたこともあり、わずか3カ月程度で東京へ転勤になり、前職と同じく新規法人顧客の開拓をしました。10年勤務した後、ちょうど診断士資格を取得したタイミングで、耐火物関連の事業を行っている家業に入りました。取締役として5年間勤務し、最終的にM&Aによる会社売却をしました。2023年6月からは岡山で独立診断士として活動しています。

――家業に入ったのはどういった経緯があったのですか。

規模が10人ほどの会社で、東京と岡山に部門が分かれていました。ある時、前任の社長が退任することになり、大株主から父へ社長就任の依頼がありました。そこで、父を助けるために家業に入ることになりました。その時点で診断士資格を持っていましたので、役員として中小企業での経営経験を積むことで、中小企業診断士として差別化を図りたい考えがありました。

ギャップを埋めた診断士資格

――中小企業の経営に参画した当初、一番何を感じましたか。

やはり「理論だけではない」という点です。中小企業は経営資源が不足しているということは受験生時代のテキストや先生の話から聞いていました。実際いろいろ不足していました。しくみであったり、人材面であったり。例えば、製造部門の現場において、5Sもなかなか行き届いていなくて、品質管理も十分ではありませんでした。ただし、いきなり改革を進めるとハレーションが起こるので、ゆるやかに進めることを意識しました。

――家業で働く中、診断士資格は役立ちましたか。

経営計画策定に役立ちました。例えば、各数値データの分析、報告書や計画書の作成です。また、従業員20人以下の小規模企業ですから、補助金を使いたいケースがあります。東京都診断士協会の城南支部に所属した経験から、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金を取得する際に知識がいかせられたと思います。

当時はIT化が遅れており、LAN環境すら整備されていない状況でした。かといって小さい会社ですから高価なサーバーを入れて失敗すると大変です。結果、クラウドを導入しました。これは、前職での知識ももちろんですが、経営情報システムの知識が役に立ちました。

――最終的にM&Aによる売却をしたわけですが、その過程で診断士資格はいきましたか。

財務デューデリジェンスに関する打合せはよくありましたので、財務・会計の知識はいきました。また、契約事になりますから、経営法務に関する知識も当然です。法務面では弁護士に依頼しましたが、その方との出会いは、同じ診断士協会に所属していたご縁からでした。これは知識というより人的ネットワークをいかすことができました。



井上 雄介

井上 雄介 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1983年生まれ。愛媛県松山市出身。大学卒業後、地元の情報通信系企業に入社。工事管理業務を経験した後、経理業務に14年間従事、現在に至る。財務・会計以外の幅広い知識習得を目指し資格取得を決意。2021年度診断士試験合格。2023年2月中小企業診断士登録。愛媛県中小企業診断士協会所属。

拓け!中小企業診断士の扉~受験奮闘編~カテゴリの最新記事