【佐藤宗一さんインタビュー】ブランクを超えて、今~スタート地点に立つ

【佐藤宗一さんインタビュー】ブランクを超えて、今~スタート地点に立つ

【第1回 旧制度試験の合格者】

【佐藤宗一さんインタビュー】

佐藤宗一さんは金融機関出身の中小企業診断士です。佐藤さんが中小企業診断士の資格を取得したのは2000年。今とは試験の形態が異なる旧制度での合格者です。長い期間その資格を活かすことなく、一時は資格の休止をしていましたが、役職定年を迎え長く勤めた都市銀行を退職したあと、別の金融機関で働きながら中小企業診断士として活躍しようとしています。そんな佐藤さんに、活動を再開したきっかけと当時の試験勉強の方法をお聞きしました。

ブランク中小企業診断士目覚める

――ブランクを経て、最近中小企業診断士としての活動を始められたとか

1年前に診断士協会のプロコン塾に入り、本格的に活動を再開しました。銀行員として働いていたときに中小企業診断士の資格を取得しましたが、仕事をしながら資格を活かした活動をしていくのが難しいと感じて、一時は資格を休止し長らくブランクが空いてしまいました。

――活動を再開されたきっかけは?

当時と比べて中小企業診断士が活躍する機会が増えたので、今だと中小企業診断士をやると面白いことがたくさんありそうだなと思ったためです。もうひとつが退職後の人生を見据えて、武器を持ちたかった、というのが理由です。それに、中小企業診断士の資格保持のために、金融機関の業務でも認められるものがあると知り、復活させる手立てがあると気付きました。

――現在の中小企業診断士の活動は?

再就職した金融機関で前職での経験や中小企業診断士の知見を活かした支援業務をしながら、人脈やスキルを広げる活動をしています。現職では管理業務がメインですが、前職の都市銀行よりもお客様との距離が近いので、相談を受ける機会もありますし若手の指導などもしています。今は中小企業診断士としては独立までの準備期間です。

銀行員は事例が得意?!

――受験した当時の試験はどういうものだったのですか

1次試験で、工鉱業部門、商業部門、情報部門と分かれていました。私は商業部門を受験しました。共通の部分もありますが、部門によって出題の範囲が違いました。今はそれらのすべてが範囲になっていますよね。また、1次試験の科目合格制度がなく一度に全科目を合格する必要がありました。2次試験が事例問題なのは今と同様ですが、中小企業対策があり、そちらは記述問題でした。

――得意科目は何でしたか

財務が得意で、ほぼ不安はなかったです。銀行ではお客様にお金を借りていただくかどうかを稟議します。決算書の細かいところまで読み込んでいく必要があるため、銀行で営業をやる者は、研修や現場で相当鍛えられます。私だけでなく、大抵の金融機関出身者はそうだと思います。

――銀行に勤めていたことで、勉強面でほかに強みはありましたか

私は2次試験の事例についても得意だったと思います。銀行は、様々なお客様がいらっしゃいます。経営の実態が決算書の結果として表れていますが、決算書だけではなく経営や実態、業務内容まで見ていかないと、その会社さんの経営がうまくいくのか、貸したお金をきちんと返していただけるのかはわかりません。そうしたたくさんの事例を見ていますので、鍛えられているというか、引き出しをたくさん持っていたというか。それほど苦労しなかったです。

――苦手科目はありました

2次試験の中小企業対策に苦労しました。法令を書き出す問題があって、広い範囲を暗記するのですが、なかなか覚えられませんでした。自分で例文を作って、それを自分でICレコーダーに吹き込んで、聞いて覚えました。お経を諳んずるような感じで。自分で例文を書く、それを吹き込んで覚える、書き出すって、例文を書く時点で大抵は覚えてしまうというか、それで試験は突破できました。中小企業診断士の勉強に限らず、別の勉強などでも使えますね。




大野千佳

大野千佳 取材の匠メンバー、中小企業診断士
神奈川県在住 横浜国立大学教育学部卒業 2022年中小企業診断士登録 公共文化施設での事業企画制作の後、公益法人本部で財務会計に従事。公共施設運営、公益法人会計・運営、指定管理者制度、研修企画を得意とし、ファシリテーションによる事業計画作成や、持続可能な公共施設の経営モデルを研究している。今後はアーティスト支援もしていく予定。神奈川県中小企業診断協会所属。

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