【刈谷力さんインタビュー】「収入とやりがい」セカンドキャリアを中小企業診断士で切り拓く

【刈谷力さんインタビュー】「収入とやりがい」セカンドキャリアを中小企業診断士で切り拓く

【第1回 中小企業診断士を目指した切実な動機】

【刈谷力さんインタビュー】

人を引き込む笑顔と、誠実で丁寧な語り口が印象的な、刈谷力さん。第1回は、中小企業診断士を目指すきっかけと、1次試験の勉強方法について、お話しをうかがいました。

会社一筋の社会人生活

――現在企業内診断士ということですが、お仕事の内容を教えてください。

特殊ガスの購買を行っています。現在担当しているガスは、半導体の製造工場で使われているもので、国内外メーカーからの安定的な調達や、価格の交渉などが主な仕事です。

――今のお仕事内容と、中小企業診断士とのつながりが、あまり深くない気がするのですが、資格を目指したきっかけを聞かせてください。

きっかけは、2つありました。1つ目の動機はお金です。今年60歳になり、再雇用で給与が大きく下がりました、何かで穴埋めしなければいけないのです。さらに、再雇用は63歳までなので、年金まで2年間つなぐ必要があります。また今後、自宅を購入したいとも思っています。そこで、退職後に中小企業診断士として、中小企業をサポートしながら、収入を得られたらいいなと考えました。

――退職後の収入確保、大切ですよね。

もう1つの理由は、退職後の生きがいですね。今まで、会社の仕事だけしかやってこなかったので、色々な中小企業を助ける、支援することで、生きがいを見つけたいと思っています。

営業マン時代に感じたジレンマ

――今までの会社員のキャリアの中で、中小企業との接点は数多くあったのですか。

現職の前は営業を20年間やっていましたので、中小企業の経営者と話す機会は数多くありました。

――法人営業が20年間。相当長いキャリアですが、中小企業を支援したい、力になりたいという思いが、当時からずっとあったのでしょうか。

そうですね、経営者の方から「経営が大変だよ」とか、「後継者どうしようかな」という話がありましたが、当時の私は「大変ですね」としか言えませんでした。「こうしたらいいんじゃないですかね」という提案が全然できませんでした。その時のジレンマが、中小企業診断士を目指すきっかけであり、退職後の生きがい探しにつながっています。

アウトプットの訓練が大切

――それでは、1次試験の試験勉強について聞かせてください。1年目に学習時間を1,000時間かけたにもかかわらず、知識が定着しなかったということですが、その要因をどのように分析されますか。

ズバリ言うと、アウトプットが無かったということです。問題を解いて、答えを書くことだけで終わっていました。理解したことを、他の人に説明をすることができるようになると、定着率が上がります。それに気が付いたのが1年目の最後の最後でした。

――単純にインプットして答え合わせだけだと、いくら時間をかけても知識が定着しないということでしょうか。

問題集で同じ問題を3回やってもマルにならなくて、4回5回6回とやって、やっと定着するという状態でした。最初から、アウトプットを意識していれば、3回程度で定着できるようになっていたと思います。

――具体的なアウトプットの方法ですが、実際にご家族ですとか、第三者に対して説明をしたのですか。

第三者に向かってではなく、家の中で一人、壁に向かって説明していました。

――そうなのですね!言語化というのでしょうか、自分がきちんと理解していないと、第三者に対して説明することはできないと思います。そのレベルまで、知識を整理して関連付けておく訓練をした、ということでしょうか。

そうですね、まさにそうなのです。それに気づくことで、1次試験は2年目で合格することができました。




佐藤 宗一

佐藤 宗一 取材の匠メンバー、中小企業診断士
神奈川県横浜市在住。早稲田大学卒業後、都市銀行に入行。法人・個人営業、預金為替実務、マネジメントなど幅広く経験し、現在は都内信用組合に勤務中。2000年に中小企業診断士登録後、長年の「ブランク」を経て、活動を再開。セミナー講師や経営相談員など、活動の幅を広げている。東京都中小企業診断士協会、城東支部所属。

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