【山崎貴彦さんインタビュー】1次試験一発合格からまさかの大苦戦。試験を通して気づかされた本当に大切なこと

【山崎貴彦さんインタビュー】1次試験一発合格からまさかの大苦戦。試験を通して気づかされた本当に大切なこと

【第1回 診断士資格取得を転機に転職へ】

【山崎貴彦さんインタビュー】

中小企業診断士を多数抱えるコンサルティングファームにお勤めの山崎貴彦さん。コロナ禍における2次試験の受験期間の延長措置も途中あり、5年にわたって診断士試験に挑み続けました。試験挑戦で気づいた「診断士試験の受験意義」について、お話をうかがいました。

長年の勤務先を辞めて転職を決断

――山崎さんは以前、地元の群馬県にある協同組合(以下組合)で働かれていて、現在はコンサルティングファームにお勤めされているそうですね。どのようなお仕事をなさっていますか?

実は昨年に転職したばかりなんですよ。中小事業者様向けの経営コンサルタントを担当していますが、まだ駆け出しの段階でして、事業者様向けの各種補助金採択後のフォローアップから始めているところです。具体的には、先輩社員が事業再構築補助金やものづくり補助金の申請フォローをされた案件に対し、その採択後の手続をサポートしています。

――以前の勤務先は安定した職場とお考えだったそうですが、なぜ転職なさったのでしょうか?

大学卒業後に地元の組合に新卒で入って、15年ほど勤めてきました。確かに安定した職場だと感じていましたが、この1本のキャリアを継続していっても「正直、外部に通用するのか?」と不安な気持ちと隣り合わせの日々でした。「井の中の蛙」にならないよう少しでも視野を広げたい、という想いで診断士資格に挑戦したことが転機になり転職を決断しました。

――一大決心をなさいましたね。15年お勤めになられた職場をお辞めになられたわけですから。

正直、かなり悩みました。やっぱり今まで15年間職場で積み上げてきたものが少なからずあったので、一回全部リセットして新しいフィールドに出ることは、簡単には決められませんでした。しかし私も30代後半にさしかかって、このタイミングを逃してはいけないと思ったのです。私の家族は子供二人と妻がいます。家族の後押しももらえたので、今回退職に踏み切ることを決断できた感じです。

診断士取得のきっかけは転職が目的ではなかった

――そもそも診断士資格取得を目指されたきっかけは、転職や独立が目的だったのでしょうか?

いえ、もともとは転職しようとか別のキャリアルートに活かしたいという目的で、診断士資格の取得を目指したわけではありませんでした。組合に勤めていた当時、管理系の経営企画部門にいたのですが、経営への知見を深めていきたいと思っていました。自己啓発で学んでいきたいと考えていた矢先、診断士資格を取得した知人がおり、そこから中小企業診断士のことを調べていく内に「ちょうどいいな」と感じて、受験を決意しました。それが最初のきっかけでした。

――なるほど、それではどうして診断士資格への挑戦が転職につながったのでしょうか?

診断士取得までに5年の月日がかかったのですが、いざ取得できた時にそれ相応の苦労をしたからこそ、「これを活かして仕事をしていきたい」という感情が沸々と湧いてきました。そこで直接資格を活用できるフィールドを探したところ、今の職場に出会いました。社長も診断士資格を保有しており、基本は中小企業診断士のみを採用している職場のため、フルに資格を活かせる場所だといえます。

――診断士取得への苦労経験が、自らのキャリア志向をも変えさせてしまったのですね

結果的にはそうなりました。ただし、それだけの価値がある資格だとも思っています。自分が今まで取得してきた他の資格には、宅地建物取引士やファイナンシャル・プランニング技能士といったものがあります。これらの資格も取得は難しかったですが、診断士試験を実際に合格できた時の喜びは、今でも忘れられません。診断士資格を取ると人脈が広がるという話はよく聞きますが、本当にそうだと思っています。活動することが大前提ですが、人脈が大きく広がったことはこの資格の良さだと思っています。




H.S. 

H.S. 取材の匠メンバー、中小企業診断士
新潟県出身。大学院理工学研究科を修了後、2003年に電子機器メーカーに入社。電子機器構成部品の材料開発業務を約5年経験し、転職。現在は輸送用機器メーカーに所属。次世代商品向け要素技術の研究開発担当を経て、組織内部の管理系業務や将来戦略検討を担っている。リスキリングのため、大学院経営学研究科を2022年に修了(MBA取得)。同年、中小企業診断士登録。ほかに修士(工学)など。

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