【第1回 断念からの再挑戦】

2020年度の中小企業診断士試験に3回目の挑戦で合格された梶川拓哉さん。新卒で地方銀行に就職し、社会人10年目。第1回目は中小企業診断士を目指したきっかけと1次試験についてうかがいました。
始まりは父の一言から
――銀行で補助金業務をされているそうですが、どんな内容ですか。
主に事業再構築補助金を担当しております。相談に来られた経営者の話をうかがい、工場見学などをすることでその企業のことを丁寧に深ぼりしながら進めていきます。以前は、相談相手をあまり理解せず、銀行目線で与信や回収の視点で話していました。これは補助金業務をしなかったら知りえなかったことなので奥深いです。
――業務をする中で中小企業診断士を目指したのですか。
違います。初任地の北海道函館市に勤務していた頃にさかのぼります。父と電話で話していたときのことです。新聞か何かで「中小企業診断士は、取りたい資格の人気ランキング1位」というのを見たようです。「将来のためにもこういう資格を持っていたら面白いのではないか」と言ってくれました。そのときに初めて中小企業診断士という資格があることを知りました。
――知ってからすぐに勉強を始められたのですか。
ちょうど会社の制度で6万円の通信講座があったので申し込みました。ただ、購入してみたものの、全く手つかずで終わっちゃいました。社会人になってお給料を頂けるようになり、観光地の函館に行かせてもらえたといこともあったので遊んでいたというか、自由に過ごさせていただきました。私としては、なんで6万円も払ってという思いはあったのですが。
――銀行勤務の方は業務で取らなければならない資格がたくさんあるとお聞きしますが、そちらの勉強もありますよね。
確かに、銀行業務検定の財務や税務、信託アドバイザーなど取得しなければならない資格もありますが、全く取らなかったです。
身銭を切って奮い立つ
――断念された勉強を再び始められていますが、何かきっかけがあったのですか。
25歳のときに富山県に異動が決まり、そろそろ本腰を入れて銀行業務検定に取り組もうと思いました。財務と法務は簡単だったのですが、税務2級は難しかったです。ですので、取得できたときはうれしくて自信がつきました。
――成功体験ですね。
はい、今まで特に資格を持っていなかったので、初めての成功体験でした。次に何かしようと考えたときに、そういえば以前、中小企業診断士試験に挑戦したけれど断念した記憶がよみがえってきました。ちょっと、始めてみようかなと思ったのが再開のきっかけです。
――前回は6万円払って断念されていますが、今回はどうしましたか。
2017年8月、資格の学校TAC(以下、TAC)の20万円程のWeb講座を申し込みました。お金を掛けることで「今度は勉強しなきゃ」という気持ちにならないかなと、思い切って自己投資しました。
――身銭を切ると続けないともったいないですよね。勉強の進め方を教えてください。
勉強の計画を立てるのが、昔から得意ではなかったのでカリキュラム通りに進めました。全部受かる気持ちでまんべんなく勉強していたのですが、次第に1次試験は何個か受かればいいという気持ちになった結果、3科目しか受からなかったです。
――残りの4科目はどのように勉強されたのですか。
またTACの同じ講座を申し込みました。
――全く同じ講座ですか。
そうです。身銭を切って、「今度こそは受からないとまずいな」とさらに自分を奮い立たせました。残りの4科目中心に、必死で勉強して運よく受かった感じです。ただ、2次試験の勉強はあまりしていませんでした。1次試験の4科目に受かることに必死で、2次試験は何とかなるだろうと考えていました。だから落ちたという感じです。実は、会社の制度で養成課程に行くことも視野に入れていました。

Y.N 取材の匠メンバー、中小企業診断士
税理士事務所勤務。2022年度に中小企業診断士試験に合格。日々の業務と資格を活用した働き方を模索中。