【第3回 中小企業診断士に合格して見えてきたもの】
過去の記事:第1回、第2回

中小企業診断士試験に見事合格した梶川さん。第3回目では、中小企業診断士になって感じたことやこれから目指す受験生にエールを頂きました。
花形部署での活躍を夢見たものの
――中小企業診断士に合格されて仕事に変化はありましたか。
2021年に大阪で勤務していたときに、合格となりました。その後に、勤務地が地元に近い富山県富山市になり、希望する部署への異動もできました。私の第一希望部署で銀行の中でも花形業務とされる、M&Aに携われることになったのです。とてもうれしくて、「よし、がんばるぞ」と意気込みました。モチベーションが高まって意気揚々と働き始めました。
――ビッグチャンスですね。
はい。ですが、この話には続きがあります。着任からわずか2ヵ月ほどで係替えを命じられることになってしまったのです。とてもショックだったことを覚えています。会社から私には務まらないと思われたのかな、といろいろ考えて悩んでしまいました。
――その後はどのような部署へ異動したのですか。
異動を命じられた先は、補助金の申請書を書く部署でした。最初はかげでひっそりと申請書を書いている部署だという印象だったのです。第一希望の花形業務からは正反対の部署だったので「あぁー…。」という暗い気持ちで仕事をしていました。おまけに、私にできるのかなと不安な思いもありました。実際にやってみると、奥深く、今ではとても楽しいなと感じるようになってきました。
――異動先で中小企業診断士の資格は役立ちましたか。
銀行員としての与信などの目線のみではなく、その企業を俯瞰する目線が補助金業務では必要とされます。中小企業診断士の勉強を通して、そうした目線や考え方に触れていたのは役立ちました。この部署での経験から、以前よりも相談先のことを考えることができるようになったと思います。
――ちなみに補助金の採択率はどれくらいですか。
現状では、8割以上となっています。
再び自己投資で奮い立つ
――経営者の方と話される中で、印象に残ったことはありますか。
実務補習のときにも感じたのですが、若手のモチベーションの上げ方や給与体系などの人事制度に悩まれている経営者が多かったです。また、事業承継の悩みも多く、中小企業診断士試験では学ばなかったことなので、勉強したいと思うようになりました。
――実際に勉強を始められましたか。
30万円払って事業承継士の講座を受講しました。この金額を投資することは、とても勇気が必要でした。約2ヵ月間の講座でしたが、ノウハウが詰まった厚いテキストなどは、今後の業務でも使えるものでとても有益だと感じました。ただ、独立されている方や何か事業をされている方の方が活用できる資格なんじゃないかとも思います。
補助金の申請で事業支援をしたい
――これからしていきたい業務はありますか。
ものづくり補助金や経営革新計画にチャレンジしていきたいです。特に、補助金の申請をもっと増やして採択率をさらに高めていきたいです。
――将来的に独立も考えていますか。
憧れはあるのですが、まだまだ力不足なのかなと思います。将来的には独立も視野に入れつつ、携わっている補助金業務に注力していきたいです。
――最後に、中小企業診断士を取得しようか迷っている方にメッセージをお願いします。
どの資格もそうですがある程度いろいろなことを断りながら、勉強していく必要があると思っています。私は夜更かしができない人間なので仕事が終わったら勉強カフェに通う、土日はこもってやる、という習慣をずっと続けてきました。ある程度の誘いは断るという覚悟が必要です。診断士資格は人とのつながりが増え、自信にもつながるので、ある程度時間がかかるということを理解しつつ、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。そして、目指したのなら一人の時間が増えることで自分と向き合って、勉強を続けてがんばっていただきたいと思います。

Y.N 取材の匠メンバー、中小企業診断士
税理士事務所勤務。2022年度に中小企業診断士試験に合格。日々の業務と資格を活用した働き方を模索中。