【上塘裕三さんインタビュー】地元九州の中小企業経営を手助けする「町医者」を目指して

【上塘裕三さんインタビュー】地元九州の中小企業経営を手助けする「町医者」を目指して

【第2回 勉強を始めて2年で合格!その秘訣とは?】
過去の記事:第1回

現勤務先を2024年9月に早期退職し、中小企業診断士として独立することに決めた上塘裕三さん。第2回では、中小企業診断士の資格取得を目指して勉強を始めた上塘さんが、1次試験・2次試験をどのように乗り切ったかをたずねた。

1次試験突破の秘訣は、手を広げ過ぎないこと

上塘さんは、中小企業診断士試験の1次試験は一発合格、2次試験は二回目の受験で合格している。まずは1次試験について勉強方法をたずねてみた。

既に日商簿記2級を取得していた上塘さんは、1次試験の得意科目は「財務・会計」で、苦手科目は「経営法務」だった。「経営法務」が苦手だったのは、法律関連の業務に従事したことがなくなじみがなかったことと、暗記事項が多かったからである。そこで、その克服方法として第1回で紹介した「通勤電車でのメモ用紙を使ったインプット方法」を活用した。「経営法務」にその多くの時間を割き、隙間時間を活用して暗記事項を徹底的に頭に叩き込んだ。「経営法務は最後まで好きにはなれなかった」とのことだが、成果は試験結果として確実に現れたのである。

上塘さんの1次試験勉強方法は、同じテキスト・問題集・過去問を何往復も行うことであった。「問題と答えを丸暗記するぐらいに繰り返した」と上塘さんは語る。その中で、絶対に得点すべき基本問題を確実におさえられるようにした。より高得点を狙い、あれこれと手を広げてしまいがちだが、多くの受験生が正解する問題で得点を積み重ねる方が、1次試験突破に向けてより確実な方法であることを、上塘さんが実践したのである。

2次試験突破のコツは?

1次試験を突破した上塘さんは、2次試験の勉強に切り替えたが、ここで想定外の事態となった。1次試験では「財務・会計」を得意科目としていたのに、事例Ⅳの得点が伸び悩んだのである。2次試験でも上塘さんの勉強方法は基本的に変わらず、10年間の過去問を何度も繰り返した。「事例Ⅰ~Ⅲでは、過去問を繰り返す中で解答を導くコツを身につけることができたが、事例Ⅳは色々な出題パターンがある中で、過去問だけでは対処しきれなかったのだと思う」と振り返る。ただし事例Ⅳの第1問については、経営分析問題として例年出題傾向が似ており、過去問の繰返しの中で解答スキルが身についていくのが実感できたと言う。よって第1問は毎回満点を目指し、ほぼ実践できたことで、他の設問での失点を何とかカバーした。

2次試験の模範解答は、受験予備校によって異なる。上塘さんは当初、自身が受講していた通信教育の模範解答のみを参照していたが、解答に納得できない時があり、それを機会に「ふぞろいな合格答案(同友館)」など他社の模範解答も参照し、解答のポイントを多面的に分析した。特に「ふぞろいな合格答案」は、合格答案から不合格答案まで多くの解答が掲載されている。合格答案はどこが評価され、不合格答案はどこに改善点があるかを考察することで、色々な観点を身につけるのに役立てた。

解答を検討・作成する際は、時間配分など自分なりのプロセスを固めた。その中で、マーカーは設問ごとに5~6色を使い分けた。受講していた通信教育ではSWOTによる色分けを推奨していたが、効率よく設問に対応しづらいことから、自身でやり方を変えたのである。また、「いつの誰の何が」問われているかを考えるようにしていた。これは通信教育のテキストに解き方として書かれていたもので、2次試験において非常に重要と感じたので、与件文もさることながら、設問もきっちり読むようにしていたとのことである。教えられたことをそのまま鵜吞みにして実行するのではなく、自分に合った解答プロセスを固めたことが、上塘さんを2次試験合格に導いたように感じる。

最後に2次試験を突破するコツをたずねた。「とにかく過去問を繰り返すこと。そこで得た自信をもって、特別という意識をもたずに普段通りに本試験に臨めば、当然問題は異なるが、きっと対処はできる」と、上塘さんは力強く答えてくれた。







加藤 裕之

加藤 裕之 取材の匠メンバー、中小企業診断士
石川県金沢市出身、神奈川県横浜市在住。大学卒業後、大手制御機器メーカーに入社。3年半の中国・上海駐在時含め、主に管理会計業務に携わる。社内異動で業務が変わったことをきっかけに、中小企業診断士資格の取得を目指す。退職後は、嘱託職員として独立行政法人中小企業基盤整備機構で、中小企業の海外展開支援に従事。2021年4月に中小企業診断士登録。一般社団法人東京都中小企業診断士協会城南支部所属。

拓け!中小企業診断士の扉~受験奮闘編~カテゴリの最新記事