【百田行輝さんインタビュー】楽しみながらの勉強で掴んだ、12年越しの合格

【百田行輝さんインタビュー】楽しみながらの勉強で掴んだ、12年越しの合格

【第2回 1次試験からの再挑戦、再々挑戦】
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【百田行輝さんインタビュー】

受験生によって不合格の受け止め方はさまざまである。中には本気で取り組んでいたからこそ気持ちを立て直すことができず、次回の受験を断念する方もいるだろう。2次試験で2度不合格となり、1次試験からやり直しとなってしまった百田行輝(ももた ゆきてる)さんだが、彼の再挑戦はどのようなものだったのだろうか。

ホームページと睨めっこするのがすごく楽しくて

百田さんは試験結果が判明後、すぐに次の行動に移っていた。

「不合格とわかった時から、ネットで検索して資料請求しまくる、そんなことをずっとやっていました。パンフレットを取り寄せたり、ホームページと睨めっこするのがすごく楽しくて」

一方で当時勤務していた職場では心無いことも言われたという。

「社会人が1,000時間も勉強なんて無理」
「まだ受けてるんですか、毎年受けてますよね」
温厚そうに見える百田さんだが、さすがにこういった言葉対しては腹が立たないわけではなかった。しかし、それでも次の受験に向けて彼の心を支えていた感情は「怒り」や「反発心」ではなく、「楽しさ」だった。

わからなかった世界が見えてくる、独特の楽しさ

世の中には資格の取得それ自体を趣味のように楽しんでいる人も多いようである。百田さんはそういったタイプではなかったが、彼にとって中小企業診断士の勉強は他の資格にはない、特別の楽しさがあったそうだ。

「私はIT系の資格も持っていますが、特に資格を取ること自体が好きというわけではないです。ただ中小企業診断士の場合は、勉強が進むにつれて今まではわからなかった経営や事業の全体が見えてくる、という独特の楽しさがあります。それと同時に社内の他部門の方の言うこともわかるようになってきますし。特に1次試験は幅広いジャンルの勉強ができて楽しかった」

中小企業診断士試験の特徴の1つは、非常に幅広い分野の科目を扱うことである。百田さんは学習が進む度に、自らの視界が広がっていくような感覚を楽しんでいたのかもしれない。

テキストを端から端まで眺めていました

このように百田さんが10年以上の期間、勉強を続けられたのは「楽しい」という感覚があったからこそだが、勉強自体を楽しんでしまったが故に効率が落ちてしまった面もあるという。

「合格するまでの間、途中で複数の資格学校を使っていました。学校を変える度に新しいテキストを最初から端から端まで眺めていたので、楽しかった一方で過去問に着手するのが遅くなってしまいました」

このように、家事や育児で勉強時間が限られる中で、効率の良くない勉強方法を採っていた百田さんだったが、やがて時間の経過とともにやり方を見直し始めた。他の多くの資格試験と同じく、中小企業診断士試験でも満点を取る必要はない。合格に必要な点数を効率良く取っていく形に、百田さんの勉強スタイルも変わっていったのである。

財務・会計は解いて解いての繰り返し

製造業の社内SEである百田さんにとって、1次試験の運営管理や経営情報システムは得意科目だった。反面、財務・会計や経済学は苦手科目だったという。

「やっぱり財務・会計は問題を何度も解いて解いての繰り返しですね。経済学もわからないところには時間をかけず、頻出問題に集中することで60点に手が届くようになりました。2次試験では元々事例Ⅳが苦手でしたけど、経営分析とか頻出問題を集中的にしてやるようにしたところ、次第に点数が上がっていきました」
一方で、2次試験の事例Ⅰだけは最後まで苦手意識が消えなかったという。しかし、それでも「ふぞろいな合格答案(同友館)」シリーズのやり方に沿ってキーワードを意識的に盛り込むようにしたことで、50点台後半を確保できるようになった。こうして勉強方法に改良を加えていった結果、2019年の6度目の2次試験で百田さんは遂に合格を果たしたのだった。








柴山 賢二

柴山 賢二 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1971年愛知県生まれ。分譲住宅販売会社にて広告・広報を担当し、販売戸数・地域シェア拡大に貢献。広告代理店に転職後、約5年の苦闘の末に2022年度に中小企業診断士合格。タキプロ14期ハンドルネーム「しばちん」としてブログを執筆。「中小企業診断士 ゲーム理論」「中小企業診断士 フレームワーク」でGoogle検索した際、だいたいトップで表示されるブログの作者、それが私です。

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