【田部井可奈子さんインタビュー】大病を乗り越え2次試験ストレート合格 そして沖縄で起業の夢の実現へ

【田部井可奈子さんインタビュー】大病を乗り越え2次試験ストレート合格 そして沖縄で起業の夢の実現へ

【第2回 大病の告知 そして「絶対後悔したくない」と決意】
過去の記事:第1回

大手製薬会社の企業内診断士である田部井可奈子さんは2024年7月に中小企業診断士登録予定だが、既に2025年沖縄での起業準備を進めている。第2回では中小企業診断士試験合格までの経緯についてうかがった。

中小企業診断士資格に挑戦

もともと会社で、人の役に立ちたいと思っていてもその思いに沿った営業ができない悩みや、同期がキャリアアップをしていくなかで自分に変化がないことに対する焦りを感じていた。その頃から、田部井さんはスキルアップをして経営者から経営の悩みを聞かれたときに答えられる知識を身につけたい、会社の看板がなくても個人で価値のある人間になりたいと思うようになっていた。そして沖縄旅行の後に夫からヴィラ開業の相談を受けたことから、より中小企業診断士資格を取得したいと思うようになった。中小企業診断士資格を取れば財務諸表の分析や、マーケティングの知識を活かすことなどで、ヴィラのオーナーとなる夫の伴走者として役に立つこともできると思ったのだ。そして2022年4月に中小企業診断士の勉強を開始、その年は2科目の科目合格、そして翌年に残り5科目を合格して1次試験を突破。もともと受験校の1.5年ストレートコースを取っていたので順調に合格への道を歩んでいたと思われたが、1次試験合格の発表後に、大病にかかっていることが判明した。

病室で必死の2次試験勉強

「今は全然元気なんですけれど、本当に、その病気だとわかったときはびっくりしまた。普段は自分が生きていていきなり明日死ぬかもしれないとは思わないですけど、その時はそれがちらついたんです。それで、ちらついたときに、今日もし死んだら私は後悔しないかなって一番思いました」。会社勤務は続けられなくなり長期の療養休暇が始まった。そして手術と治療。一時期は、本当に2次試験は受けられないと思ったため、無理だとわかっていながら中小企業診断協会に2次試験受験の延長のお願いをした。もちろん延長はできないとの回答であった。

そんななかで田部井さんは、やることをやってダメであれば仕方ないが、やってもいないのに、ようやく手に入れた中小企業診断士試験合格のチャンスが手からこぼれ落ちてしまうことは違うと思ったそうだ。「例えば、勉強が進まなかったことや仕事が上手くできなかったことなど、身体のこと以外で悩める状況下にいることはどれほど幸せなのかと実感しました。失ってみて初めて気付くものです。そのとき、絶対に後悔しない人生を歩みたいなと強く思ったんです」。そう決意した田部井さんは2次試験の勉強を再開した。

集中と選択 そして精神力で2次試験を突破

2023年2次試験日は10月29日。2次試験ストレート合格を目指す受験生が誰しも直面するのが圧倒的な時間不足の問題だ。もともと書くことは得意だった田部井さんは、集中と選択で対策を立てた。集中面では、勉強時間配分を事例Ⅳに50%、事例Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを50%と、大きなメリハリをつけ、時間をかけるほど点数に結びつきやすい事例Ⅳに多くの時間を配分した。選択面では、過去問は5年分だけやると決めると同時に、例えば事例Ⅳであれば最初の経営分析とCVPとNPVだけというように幹の部分だけは絶対とるという取捨選択をした。あとは精神力だった。絶対後悔したくないという強い思いが、田部井さんを奮い立たせた。2次試験は受けられないかもしれないという状況の中、病室で電卓を叩く日が続いた。そして必死の努力と強い思いで2次筆記試験をストレート合格、1月21日の口述試験も合格し、念願の中小企業診断士試験合格をつかみ取ったのであった。

しかし後悔しない人生を絶対に歩みたいと決心した田部井さんにとって、中小企業診断士試験合格は、その想いを実現するための通過点にしか過ぎなかった。








髙田 浩一郎

髙田 浩一郎 取材の匠メンバー、中小企業診断士
東京都在住。大学卒業後、総合物流企業に入社。国際旅行業務、国際航空業務、国際海運業務などに従事。営業部門、管理部門、またシンガポールで駐在員など幅広く経験。2023年5月中小企業診断士登録。物流を得意分野としたよろず支援ができる中小企業診断士になるために日々奮闘中。武道が好きで現在は合気道の稽古に励んでいる。趣味はギター演奏、特技は指圧。

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