【齋藤徹也さんインタビュー】もっと成長したい~技術屋一筋の齋藤さんが70歳で中小企業診断士になったわけ

【齋藤徹也さんインタビュー】もっと成長したい~技術屋一筋の齋藤さんが70歳で中小企業診断士になったわけ

【第1回 長年の製造業勤め、定年を前に中小企業診断士試験へ挑戦】

【齋藤徹也さんインタビュー】

齋藤徹也さんは2024年に70歳で登録をした新米中小企業診断士だ。長年「技術屋」として企業勤めをしてきたが、定年退職後のセカンドキャリアを見据え、65歳の時に受験勉強を開始した。第1回では、そんな齋藤さんのこれまでの経歴や、診断士資格との出会い、勉強方法についてうかがった。

ものづくり好きが技術屋に

子どもの頃から時計を分解して壊したり、ラジオを作ったりと、手を動かしてものを作ることが好きだった齋藤さん。大学卒業後、大手印刷会社のエレクトロニクス事業部にて勤務を始めた。

「そこでの仕事は、まさに2次試験の事例Ⅲの世界でした。」と言うように、現場の改善から品質管理、生産管理など、製造業として一貫した運営管理の実務に携わることとなった。部品の設計をし、時には営業部門の担当者に同行して客先の電機メーカーに提案をすることもあった。当時は国内のエレクトロニクス産業が活況の様相を見せており、「非常にいい時代に仕事させてもらった。楽しかったな。」と齋藤さんは目を細めて当時を懐かしく振り返る。

現場から経営計画の策定へ

やがて職場内でのポジションが上がり、担当事業の経営計画を策定する立場となった。

「それはもう大変ですよ、生産管理は全部をまとめなければならない。営業側は売上、工場側は利益と、それぞれに異なる責任を持っているので要求がバッティングします。さらに強力なお客さんが難題を突き付けてくることもあり、調整には本当に苦労しました。」

経営計画の策定は大変なことが多かったが、一方でその先につながる学習の機会にもなった。財務の知識が必要だと感じ、自主的に日商簿記2級を取得した。これがのちの診断士試験でも役に立つこととなる。

診断士資格を知った偶然のきっかけ

そんな齋藤さんが中小企業診断士という資格を知ったのは、思いがけないきっかけからだった。ある日電車に乗っていた時、隣の人が手にしている運営管理の教科書が偶然目に入ったのだ。

「横目でチラっと見たら、品質管理や5S、段取短縮、生産計画といった、自分が今まで仕事で学んできた生産管理のことが体系的に一括して載っていて驚きました。僕はこの分野を独学でやってきたけど、こんなに系統立って生産管理のことを勉強できるのか、これは面白い資格があるな、と思ったのが最初です。」

すぐに診断士資格のことを調べたが、登録には実務補習が必要であることから会社に所属するうちは取得が難しいだろうと考え、受験勉強することは断念した。しかし、齋藤さんの知的好奇心を刺激した中小企業診断士への思いは消えず、数年後、可能となったタイミングで勉強を始めることとした。

1次試験対策に役立った模試の徹底活用

もともと特種情報処理技術者の資格を持っていたため、経営情報システムは科目免除となる。さらに、日商簿記2級を取得したことで、財務会計の基礎知識もあったことから、受験勉強は順調な滑り出しとなった。

1次試験は1科目あたり60点を取れば合格する。安定的に60点をクリアする実力をつけるために役に立ったのが、各受験校が行っている模擬試験の徹底活用だった。「模試を受験した後に100点が取れるようになるまで、何回も解き直しました。それを3社分くらいやると、だいたい本番で65点くらいは取れるようになってきました。」

経営法務や、中小企業経営・政策といった知識の記憶に比重が置かれる科目には苦戦したものの、着実に実力を付け、受験1年目は3科目、2年目には残りの科目に合格、順調に1次試験を突破した。しかし、2次試験はそうはうまくいかなかった。第2回では、齋藤さんがどのように2次試験を乗り越え、合格を手にしたかうかがっていく。








前田 久美子

前田 久美子 取材の匠メンバー、中小企業診断士
2021年中小企業診断士に登録。エンタメ系IT企業にて、経理、内部監査、アプリ事業のマーケティング職を経て、経営企画部門にてグループ会社管理、全社朝会の企画運営、基幹システム導入のプロジェクトマネジメント、管理会計などに従事する幅広い経験を持つ。しくみづくりから運用、数値分析、コミュニケーションまでOKな全方位バランス型人間。ビールが好きで、いつかブルワリーのコンサルティングをしたいと思っている。

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