【第2回 隙間時間の積み重ね~ストレート合格への軌跡】
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大手IT企業のUX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナーである畑山誉(はたやまたかし)さんに、中小企業診断士資格を取得するまでの経緯と、ストレート合格を果たした勉強法、そして今後の抱負を聞いた。第2回は、転職後間もないタイミングでの育児と勉強の両立方法について語ってもらった。
転職とともに始まった、もうひとつの挑戦
中小企業診断士の勉強を始めたのは、転職して間もない頃だった。時を同じくして、畑山さんの家庭には新しい命が生まれていた。仕事と育児に加え、資格取得という大きなチャレンジが始まる。幸い転職先は柔軟な働き方が可能で、テレワーク中心の業務ができるようになったものの、育児中の勉強は一日にまとまった時間を取ることが難しい。それでも、やると決めたからには日々の中に学びの時間を組み込む工夫を続けた。
隙間時間と夜の集中で積み重ねる
畑山さんの学習スタイルは、日中の隙間時間と深夜の集中学習の組み合わせだった。教材として選んだのは、オンライン通信講座の「STUDYing(スタディング)」。子どもの昼寝中や家事の合間など、数分単位の時間でもスマートフォンで動画講座を視聴し、知識を積み重ねていった。そして、育児と家事を終えた夜。家族が眠りについた後の時間は、自分にとって最も集中できる大切な学びの時間となった。日付が変わっても机に向かい続ける日々が続いた。
1次試験は、自分らしく乗り越える
1次試験では、全7科目の幅広い知識が問われる。畑山さんは社会人2~3年目の頃に、知識の幅を広げるために簿記の学習を行い、日商簿記検定2級を取得していた。そのため「財務・会計」には大きな抵抗がなかった。また、「経営情報システム」は現職に近い領域であり、自信を持って取り組むことができた。
一方で苦労したのは「経営法務」だった。法律特有の用語や言い回しに最初は戸惑った。そこで畑山さんは、自分なりのアプローチとして、法律と日常生活を結びつける方法を試みる。
「例えば『この条文は自分の生活に置き換えるとどんな場面で出てくるだろう』と想像しました。そうすると、内容にリアリティが生まれてくる」
その一助となったのが、法律をテーマにした弁護士が主人公の漫画だった。条文の背景や適用場面をストーリーとして捉えることで、曖昧だった法務の理解が具体性を帯びてきた。
隙間時間を積み上げて、必要な知識を集めていく。学びが深まるにつれて7つのそれぞれの科目が、少しずつ重なっていく感覚を覚えた。1次試験の勉強を通じて、畑山さんは更なる知識の幅の広がりを感じていた。
面白かった2次試験の勉強
1次試験を突破した後は、記述式の2次試験に挑んだ。2次試験でも資格学校には通わず、過去問をひたすら解き、解答作成の手順習得につとめた。試験直前には妻に協力してもらい、自習室でまとまった時間を確保。何度も何度も問題を解いた。
「実在する企業に向き合う感覚があって、2次試験の勉強は面白かったです。具体的な事例がたくさん出てきて、与件文を通して企業の状況や課題を分析するのは興味深いものでした」
特に留意したのは、出題傾向をつかみ、出題者の意図を把握すること。そして80分間の試験時間を常に意識しながら、論理的な文章構成を磨いていった。 努力の末、1次試験・2次試験ともにストレート合格。仕事と育児に追われながらも、自分を信じて歩みを止めなかったその道のりには、確かな光が差していた。

菊池宏行 取材の匠メンバー、中小企業診断士
新潟県出身、東京都在住。2025年中小企業診断士登録。地方銀行に32年間勤務し、法人営業、事務企画、有価証券運用責任者、支店長を経験。2025年に上京し、現在は都内のコンサルティング会社で中小企業の資金繰りや事業承継の支援に携わっている。証券アナリスト、FP1級、宅地建物取引主任者などの資格を保有。
