【第2回 「もうやめよう」と思ったこともあった。それでも立ち向かった】
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小林雅典さんは現在地元の長野でコンサルティング会社に勤務しマーケティング支援や組織体制整備・研修講師などで活躍している。5年間の努力の末、中小企業診断士に合格。他にも小学校教諭、認定心理士などの資格を持ちマルチな才能を有する。
試験に向き合い、小林さんが得たものとは。第2回目は「中小企業診断士の受験生活について」である。
1次試験は順調
本業の出版社での企画のクオリティ向上のために診断士受験を決意した小林さん。多くの受験生と同じように、受験は会社員生活と並行してのものとなった。モチベーションに波のあるタイプだったこともあって継続的な学習習慣をつけることには相当苦戦した。
「やる気がある時はすごくやるけど、やる気がない時はとことんやらなかった。正直、1次試験とかはもう一夜漬けみたいな感じでした。直前に『やばい、やばい! 』って焦りながら勉強したりしていました」
学習スタイルは通信学習型の予備校を選び、書籍ではなくスマートフォンやタブレット中心にして学習開始の障壁を下げた。これが通勤時間などの隙間時間の活用と相性が良く、1次試験は初回受験で突破。
1次試験を振り返って、小林さんは勉強が楽しかったと話す。
「企業経営理論のマーケティングなどの知識は仕事でも使えそうだという実感がありました。色々資格試験は受けてきたんですけど、実益が出る分中小企業診断士は比較的楽しく勉強できた方じゃないかなって思います」
狭き門の2次試験
だが、次はそうはいかなかった。
「捉えどころのない試験」
小林さんは2次試験をそう形容する。診断士試験の2次試験合格率は例年約20%を推移する難関の記述形式の試験である。1次試験と異なり暗記ものではないので気は楽だったが、どこをどうしたら点数が取れるのか全くイメージが沸かなかった。事例Ⅳの演習対策はできたものの、事例Ⅰ〜Ⅲについて効果的な対策をとることができず2次試験を2回受験したが不合格となった。
1次試験から再度受験し直しとなる負荷は大きく、次の年(受験3年目)は全く試験を受けなかった。小林さんの中で、試験勉強で得た知識が本業の企画に活かされているため中小企業診断士という資格という形にこだわらなくてもよいという心境に至っていたためである。
だが、ある日企画書を見ながら思った。
「教材の販路なんかを考えながら『そういえばこれ中小企業診断士で勉強したなあ』って。せっかくこういうことを勉強して、仕事でも活きているのに。それが成果として出ていないのはすごくもったいない」
一度だけではない。「もったいない」という気持ちは企画書と向き合う時に繰り返し生じた。もう一度チャレンジして中小企業診断士という目にみえる成果が欲しい。彼はいつしか熱意を取り戻していた。
そうした気持ちを後押ししてくれたのは彼の妻の存在であった。これまでも応援してくれていたが、再受験の気持ちを打ち明けると快く応援してくれた。
そして受験4年目。1次試験を受け無事合格したが、その年の2次試験は不合格。やはり掴みどころのない2次試験が仇となった。
ついに見つけた突破口、そして
5年目の受験。この頃、ある気づきがあった。2次試験にもパターンがあり、設問と解答には明確な対応関係があることである。
この年の2次対策は事例Ⅰ〜Ⅲの対策を大幅に変えた。2次試験の設問を徹底的に分析し、使用されるフレームワークを改めて自分のものにしようとした。頻出論点や切り口を網羅してワンペーパーに集約し、それをひたすら暗記。通常の勉強に加えて、本番までワンペーパーを家のトイレにも貼って眺めるほどだった。こうして迎えた4回目の2次試験は見事合格。5年越しの努力が実った。

T.T 取材の匠メンバー、中小企業診断士
東北某県内の地方公務員として10年程度勤務。福祉や税務に関する部署を経験。企業内診断士兼一児の母。それまで会計や経営とは縁遠い人生を送ってきたが、育休中に夫に触発され診断士試験に挑戦。2人で合格して診断士夫婦に。2024年に診断士登録後、もともと興味のあったDX推進による業務効率化を進めよりよい地域社会を作る一助になりたいと奔走中。
