【安井伸太郎さんインタビュー】診断士試験を経て成長できた伝える力

【安井伸太郎さんインタビュー】診断士試験を経て成長できた伝える力

【第1回 成長への渇望が導いた転職と挑戦】

安井伸太郎さんは鉄鋼商社に勤める企業内診断士だ。経営企画部という部門で、経営陣はもちろん、財務、人事、営業など多様な部門とつながり、会社全体を動かしてゆくのが仕事だ。2024年に中小企業診断士試験をストレート合格。第1回は試験を受けるまでの道のりを追った。

転職への決意

「このままでいいのか。」その問いが、安井さんを突き動かした。

現在、安井さんは鉄鋼商社の経営企画部に所属し、業績管理やIR対応、投資案件の精査など、幅広い業務に携わっている。転職して2年、今の職場に移るまでは、大手ハウスメーカ―で約7年間、主に管理会計を中心に仕事をしていた。前職の会社は非常に大きな会社だったため、分業が徹底されていて効率的だった。働く側の立場としては楽であったし、専門性も高めることができた。しかし安井さんには不安があった。

「変化が少なく、自分の成長というか、今のままで大丈夫かな、これしかできない人間になってしまったら困るな、という危機感はあったと思います。」社内異動でのステップアップも選択肢にあったが、思い切って環境ごと変える道を選んだ。

経営企画部という仕事

現職の鉄鋼商社では、企画部門の一員として10人規模のチームで活動する。案件や役割ごとに数名ずつチームが編成され、営業部門との連携や、経営陣との折衝を行いながら業務を進める。営業部門から「この企業を買収したい」と相談があると、案件の背景調査やシナジーの見極め、リスク評価など、中小企業診断士的な視点も必要になってくる。

さらには、会社の制度や評価体系にも深く関与することが多い。部門ごとの損益をどう公平に評価するかというのは難題だ。商社の業績は為替変動に左右される。同じ利益でも為替の影響で結果が変わるので、条件をそろえる必要がある。その過程で「いや、うちはそうすると、ちょっと困るのです」といった声もあがってくる。フェアな形で制度を作って行くために、社内のさまざまな人の意見に耳を傾け対話を重ねる必要がある。そうしたルール整備は単なる制度設計にととまらず、会社全体の公平性や納得感にも直結する。

「ちゃんと現場の声も聴きながら幅を広げていけるっていうのは、すごくよかったなと思っています」と、安井さんはにこやかに言った。

憧れの中小企業診断士

日々変化に富む業務に、やっと会社の全体像が見える場所にこられた、と実感をこめる安井さん。転職し、さまざまな仕事にかかわるようになってゆく。幅広い知識が必要なのではと考える中、自然と中小企業診断士の存在を思い出すようになったという。

前職の上司や同じ部署の同僚が診断士資格を持っていた。仕事が早く、メールや会議の発言などのアウトプットも整理されており、人に伝わるポイントを押さえていた。特に前職の上司はコーチングなども勉強しており、チーム全体をマネジメントする姿への憧れもあった。その上司との半期に1回の面談で、君だったらできると思う、といわれたことも記憶に残っていた。

「優秀な人がたまたま資格を持っているのか、資格をとったから優秀なのかはわかりませんけど、少なくとも自分も一歩近づきたいと思いました」

業務との親和性、尊敬する先輩たちの存在、そして自分を成長させたいという渇望。これらが背中を押した。財務会計の科目はIR業務や買収案件の事業計画作成に直結する。経営法務の科目は契約書のチェックにかかわる。7科目の試験問題をざっと見たときに、どれも自分の仕事にかかわることだという実感があった。安井さんの資格取得への挑戦が始まった。








永岡 伸一

永岡 伸一 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1974年生まれ、埼玉県出身、東京都在住。大学で経済学を学び、卒業後に金融機関に入社。法人および個人営業担当。全国各地の企業オーナー、地権者などを中心に、資産運用コンサルティング提案に従事。証券アナリスト。1級ファイナンシャルプランニング技能士。宅地建物取引主任者。2020年中小企業診断士登録。

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