【永岡伸一さんインタビュー】学ぶことをやめない永岡さんは、なぜ中小企業診断士にたどり着いたのか

【永岡伸一さんインタビュー】学ぶことをやめない永岡さんは、なぜ中小企業診断士にたどり着いたのか

【第1回 中小企業診断士の生かし方と学びの道のり】

大手金融機関の店舗運営マネージャーである永岡さんに、企業内診断士としての中小企業診断士資格の活かし方や取得するまでの経緯、今後の活動への意欲をうかがった。第1回では、中小企業診断士資格の活かし方と、中小企業診断士の資格取得に至るまでの背景を聴いた。

「資格は全く役に立っていない」の真意

「中小企業診断士の資格は全く役に立っていない」

冒頭、中小企業診断士の資格が本業にどう役に立っているのかを投げかけたところ、そう返ってきた。続けてこうも漏らす。

「しかし、中小企業診断士の『考え方』は日々の業務に活きている」

その真意を紐解きたい。

永岡さんは、現在、金融機関の管理職として、街中で目にすることの多い店舗を切り盛りしている。彼の日常業務は、まさにそのお店のマネジメントであり、平たく言えば「トラブル対応」に近いという。職員がスムーズに仕事を進め、成果を出せるように采配を振るい、トラブルが発生した際には決断を下す立場だ。業務の比重としてはリスク管理が大きいと語る。そして、中小企業診断士の「考え方」が役立つのは、「店舗運営のマネジメントや、リスクをどのように念頭に置いて店を運営すべきか」といった時。

冒頭、「中小企業診断士の資格は全く役には立っていない」と率直に答えたのは、在籍部署が、中小企業診断士の専門知識をそのまま使う機会がないことを伝えたかったものである。そもそも中小企業診断士の「考え方」とは、一つの会社に様々な角度から焦点を当てて、あからさまにするようなイメージだという。中小企業診断士の2次試験のような感覚で、出てきた情報をすべて使い尽くすような、視点の取りこぼしがないかを検証するという考え方である。

日々様々な業務に、中小企業診断士の資格を活かす

そのような「考え方」が、トラブル対応でも見落としがないか、別の対策がないかという視点につながっている。日常業務の中で、勉強したワードやフレームワーク(例えば5Sなどの整理・整頓やSWOT)が自然と活用されていると感じることもある。特に5Sは店舗運営の中で実践していることだ。お客様の情報を適切に扱い、いい加減に破棄しないようにする。人の手が入る以上、どこかでいい加減になる人が出てくる。そういった際に、「この人は整理整頓が甘いな」と目を配り、指導・フォローするのも管理職の役割だ。

加えて、職員をまとめる立場として、上層部からの指示や方針の意図をそしゃくし、現場感覚とすり合わせて現場に落とし込むようになった。若い頃は面倒と感じがちだったが、全員が一つの方向に動くことの重要性を認識したという。会社の方針を単に伝えるのではなく、その背景にある経営層の意図や、株主への情報発信といった視点まで考えることで、会社の中で自分自身に求められている役割を適切に果たしているという考え方を持つようになった。承認のプロセスにおいても、会社経営の延長として捉えるようになったと感じている。まさに中小企業診断士の「考え方」、特に事例Ⅰの組織運営の「考え方」が業務に活きていると言える。

FP、証券アナリスト、そしてたどり着いた中小企業診断士

永岡さんの「学び」の道のりは、中小企業診断士資格から始まったわけではない。さかのぼること、最初の資格取得はファイナンシャル・プランナー(以下FP)だった。彼は当時、金融機関で営業を務め、資産運用といった個人向けの分野がメインだった。お金をためて運用する方法を扱うFPは、まさに仕事に直結して役立つ資格だった。それまで特に資格勉強に興味はなかったが、業務上の推奨もあり受験したという。

FP資格を取得し、勉強したことが思いのほか仕事に還元できた経験が、次の学びへの意欲を掻き立てた。そのFPの勉強の延長線上で、「さらに勉強できることがないか」と探した結果、たどり着いたのが証券アナリストだった。これは、企業の評価や運用ポートフォリオについて学びたいと考えたためだ。証券アナリストもまた、仕事と親和性があり、その後の中小企業診断士の勉強とも多くが重なる分野だった。

このように、彼の資格取得は、一つ学びを得て、それが仕事に役立つと実感し、さらに次の学びを探す、という形で、彼自身「枝が広がっていった」と表現している。そして次なる目標の中小企業診断士につながっていく。








中坪孝太

中坪孝太 取材の匠メンバー、中小企業診断士
北海道生まれ。大学卒業後、日用品の製造会社において営業に従事し、営業所長としてマネジメント業務も行う。販路拡大や、お店の売り場づくり、棚割の作成などに取り組む。2021年1級販売士。2025年中小企業診断士登録。東京都中小企業診断士協会城北支部に所属。

拓け!中小企業診断士の扉~受験奮闘編~カテゴリの最新記事