【今井章夫さんインタビュー】家族と仲間の絆で勝ち取った中小企業診断士というパスポート

【今井章夫さんインタビュー】家族と仲間の絆で勝ち取った中小企業診断士というパスポート

【第2回 仲間から学んだ「多様性」】
過去の記事:第1回

【今井章夫さんインタビュー】

中小企業診断士への思いが強かった今井さん。2次試験の壁は厚かったが、家族の理解が再度、本人を熱くしました。養成課程へのチャレンジは「最後のチャンス」と覚悟して臨みました。

狭き門でつかんだチャンス

――養成課程はどちらを選んだのですか

「働きながら通えること」「1年で履修できること」の両条件に合致する養成課程は日本マンパワーでした。試験は2月で募集の枠24名に対し、約100人の応募がありました。与えられたチャンスは1回だけ。「今、ここを突破するしかない!」と思うと自然に気合いが入りました。筆記試験で学科の理解度が、グループディスカッションでは意欲と協調性が試されました。そして面接では中小企業診断士への思いを熱く語り、ようやく養成課程の切符を手にすることができました。

――ワンチャンスを見事つかみ、入学した養成課程ですが、同期はどんな方がいたのですか

3月から始まった養成課程の入学者は多士済々で、ほとんどが働きながら通っていました。年齢は29~59歳と幅広く、金融、メーカー、情報、弁護士など様々な業界で活躍している、やる気に満ちた面々でした。

――養成課程ではどのようなことを学ぶのですか

授業は平日の2日、夜に3時間と土曜日の終日にあって、かなりタイトでした。加えて卒業には90%以上の出席が必要なので、息が抜けません。カリキュラムは基本的に、座学と診断実習に分かれています。座学は財務会計、生産管理、マーケティング、事業再生など幅広く学びます。そして一番のポイントは、チームを組んで実際の企業を訪問する、診断実習が5回あることです。

診断実習という修羅場で経験したリーダーという大役

――診断実習はどのようなことをするのですか

診断実習は個別診断として製造業とサービス業を各々2社、総合診断として1社の計5社で行いました。各診断では、事務局がランダムに編成した8人のチームで活動します。最初の実習は、紙器を加工する印刷会社でした。その会社の成形工程にはいくつもの問題があり、残業が常態化していました。私のチームのミッションは、現場の状況分析とその改善提案を行うことでした。まず入手した事前診断資料を基に、チームで仮説を立て、訪問時の質問事項や確認項目を準備しました。

訪問時には、経営者や現場の方々へのヒアリングや、製造ラインの見学を通して現状を把握します。その後のグループワークでは、喧々諤々の議論を重ね、問題点や課題を抽出し「どうしたら生産性が改善できるか」を徹底的に考え抜きます。時には訪問時に、ラインサイドに立ち、ストップウオッチで工数計測したこともありました。そうした一連のプロセスを経て、最終訪問で社長に向けた診断報告書のプレゼンテーションを行いました。

――チームでやるとなると苦労も多かったのでは

そうですね、診断実習で一番の思い出かもしれません。私は初回のチームリーダーに手をあげましたが、最初の実習なのでお手本がありません。まずはリーダーの率先垂範が重要と考え、自らが動き、メンバーやサブリーダーとのコミュニケーションを深めることに留意しました。しかしメンバーには様々な人がいます。一度決まったことに対して「ここだけは譲れない」というポイントで意見が分かれることや、メンバーの得意分野がテーマと異なるためスムーズに進まないこともありました。そうした中、メンバーの協力をどう得られるか、対話をしながら苦労と試行錯誤の連続でした。

――その後はどのような実習をされたのですか

その後、小売店、プラスチック製造会社、医療コンサルタント、電気工事会社を診断しました。私は初回にリーダーをやったので、それ以降はできるだけリーダーを支援する気持ちで参画しました。私の経験を踏まえたアドバイスは、各リーダーからとても感謝され、最初にリーダーをした苦労が報われた思いでした。





増田 利弘

増田 利弘 取材の匠メンバー、中小企業診断士
埼玉県出身。住宅メーカーを経て、現在の自動車メーカーまで、一貫してエネルギー関連の新規事業や新商品の企画・開発、立ち上げに関わる。2020年に中小企業診断士登録。「中小企業のカーボンニュートラルに貢献」をミッションに掲げ、埼玉県中小企業診断協会の省エネ研究会、企業内診断士の会で活動中。趣味は家庭菜園、映画、STARWARS。直近の目標は「3年以内にサラリーマン川柳に入賞」。

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