【百田行輝さんインタビュー】楽しみながらの勉強で掴んだ、12年越しの合格

【百田行輝さんインタビュー】楽しみながらの勉強で掴んだ、12年越しの合格

【第3回 合格後に見えてきた、新しい世界】
過去の記事:第1回第2回

【百田行輝さんインタビュー】

百田行輝(ももた ゆきてる)さんは、実に9回の1次試験と6回の2次試験を経て、2019年に合格を勝ち取った。今回は合格後の彼を待っていた出来事について聞かせていただいた。

費やした時間の代わりに得た、心からの祝福

「実は合格後に家族と交わした会話をあまり覚えていないんです」

百田さんは合格発表日を回想して語る。

その日、百田さんは家族・親族の方たちから「おめでとう」と言ってもらった際の笑顔が強く印象に残っているそうだ。その一方で会話の内容をよく思い出せないのは、嬉しさで胸がいっぱいになってしまっていたせいかもしれない。

ここで1つの仮説として、もしも百田さんが家事よりも勉強を優先していたらもっと短い期間で合格できたのでは、という考え方もあり得るだろう。だが、この時の「おめでとう」の言葉と笑顔は、百田さんが仕事にも家事にも全力を尽くしたことを知っている、一番身近な方々からの贈り物である。それはきっと百田さんにとって、勉強に費やした時間に比較してもあり余る価値があったに違いない。

もっと会社に貢献したい、そう思えるようになりました

第2回で書いたように、転職前の職場は百田さんの中小企業診断士の受験に対してはあまり好意的ではなかった。一方で2017年に転職した現在の職場では正式に副業を認められ、既にいくつかの補助金関連の仕事を行っているそうである。他にも百田さんは福岡県の中小企業診断士協会に入会、IT関連を含む複数の研究会に参加するなど、活動の幅を広げている。

それでは、こういった経験を積んだ後にいずれは独立、といったビジョンが既に百田さんには見えているのだろうか。

「元々独立したいという気持ちもあり副業許可も得ました。ただ、今いる会社が業績好調に加えて福利厚生がどんどん良くなっています。業績がいいから採用募集をかけて、定着させたいから休日を増やすとか待遇を改善して、という意図だと思います。あとスキルアップとか学ぶ機会にも恵まれていて。それでもっと会社に貢献したいと思うようになりました」
おそらく中小企業診断士の勉強をしたからこそ経営陣の意図がわかるようになり、意図がわかるからこそ現在勤務先の良さが以前より深く理解できるようになったのだろう。途中で中小企業診断士らしい分析を加えながら、百田さんは現在の心境を語った。

ITにはこだわらず、いずれは何か書いてみたい

最後に、勤務先での業務以外に百田さんが挑戦したいと思っていることについて聞かせていただいた。

「中小企業診断士の合格後に他資格のことも調べたんですけど、勉強するのが楽しそうに思えないんです。他にやってみたいこととしては、分野にはこだわらないので何か執筆ができたらとか、あとセミナー講師について調べたりしました。ただ、私は人前で話すのは苦手だし、それに今はIT以外に明確な強みが無くて」
そう語る百田さんだったが、勤務先では現在の部下の他に新卒社員の指導も任されており、異なる世代とのコミュニケーションも特に苦に感じることは無いとのことである。現状から考えて、会社からは指導力も期待されている可能性が高そうだ。

今回こうしてお話をうかがってみると、百田さんは人から学んでインプットする段階からアウトプットする段階へ、すなわち学ぶ側から教える側へ移行する時期がきているように思えてならなかった。今はまだ人前で話すことへの苦手意識があったとしても、中小企業診断士の勉強をやり抜いた百田さんなら、いずれはそれも克服するに違いない。 資格試験を通じて学んだことに加えてITの知識、さらに現在の職場で行っている部下への指導やマネジメントの経験値。近い将来、これらが百田さんの中でしっかりと結びついた時、百田さんはきっと次のステップを踏み出すはずだ。







柴山 賢二

柴山 賢二 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1971年愛知県生まれ。分譲住宅販売会社にて広告・広報を担当し、販売戸数・地域シェア拡大に貢献。広告代理店に転職後、約5年の苦闘の末に2022年度に中小企業診断士合格。タキプロ14期ハンドルネーム「しばちん」としてブログを執筆。「中小企業診断士 ゲーム理論」「中小企業診断士 フレームワーク」でGoogle検索した際、だいたいトップで表示されるブログの作者、それが私です。

拓け!中小企業診断士の扉~受験奮闘編~カテゴリの最新記事