【豊田 裕史さんインタビュー】異動や転職による困難を克服し見事に合格

【豊田 裕史さんインタビュー】異動や転職による困難を克服し見事に合格

【第3回 解法を確立し診断士合格】
過去の記事:第1回第2回

豊田さんは働き盛りの男性である。オンラインで取材を行ったが、やさしい笑顔と丁寧な語り口から実直な方と容易に想像できた。そのような豊田さんから中小企業診断士試験を受験しようと思った経緯から合格までの3年間についてお聞きした。(3回/3回)

自分なりの解法を確立

2次試験の各事例の解答時間は80分。与件文、設問を読み、理解し、自分なりに解釈したうえで字数に収まるように解答案を考え、記載するには短すぎる。特に何もない状態から解答を考えるのでは時間を超過することが経験的に判明した。そのため、答え方のパターンを身につけ、設問にあわせてパターンを当てはめる方法が合格に近いと考えた。パターンは問題集の解答例や何度も過去問を解く中で見つけていった。解くたびに最適なパターンをひらめく速度は速くなっていたという。

試験勉強中に転職が決まる

試験勉強中に転職活動を始めた。医療機器に詳しいこと、営業職として成果を上げ続けてきたことをアピールした結果、中小企業診断士試験より先に良い結果が出た。同じ医療関係で20名程度のwebサービスを提供している会社への転職が決まったのだ。そこで新規事業の開拓チームの一員として新たな社会人人生を歩むことになった。新規事業の立ち上げのためには様々な知識が必要であり、自分が思い描く将来像に近い仕事であった。

しかし、転職前には業務の引き継ぎ、転職後には新規知識習得などいろいろと作業が発生し、勉強時間は短くなっていった。忙しいため、予備校の模擬試験も受けられなかった。

一方で、2次試験の勉強は、転職先の業務である新規事業の開拓に通じる箇所があり、役に立つ部分もあった。業務と勉強内容が一致したことにより、仕事が知識のアウトプットの一つとなっていたのではないかと今では考えている。

10年分の過去問を何度も解いて、自分なりの解法を身につけて2回目の2次試験を受けることになった。2次試験の会場は居住地から遠かったが実家からは近かったため、実家に前泊し試験会場へ向かった。診断士試験について、家族の中では父が一番気に掛けてくれていた。

合格と今後の展望

試験直後の自己採点では事例Ⅰから事例Ⅲは自分なりに書けた自信があったが、事例Ⅳはまったく解くことができなかったため、手応えはなかった。

試験日から約2ヶ月後の合格発表はネットで見たが自分の番号があったときは驚いたという。合格をしたことは最初に試験のために前泊した実家に住む父親に電話して伝えた。心配をしていた父は喜んでくれた。また支えてくれた同僚や友人にも合格したことを伝えた。同じように喜んでくれた。

中小企業診断士試験に合格し、業務以外の活動が増えてきた。同僚や友人からは休日に行う診断士活動について質問されることも多く、興味を持たれていると感じる。仕事においても中小企業診断士の資格を取得したことにより、財務やマーケティングについて意見を求められる機会が少しずつ増えてきた。仕事の顧客先は中小企業とは限らないが、1次試験、2次試験問わず勉強で得た知識が充分役立っており、中小企業診断士の勉強をして本当に良かったと考えている。

中小企業診断士としての活動は、実務従事と所属している組織が主催しているマスターコースなどインプットのみであり、対価をもらって診断士活動を行った実績はない。直近の目標は今までのインプットを活かして、仕事を獲得し対価をもらうことだと豊田さんは話す。

最後に後輩へのメッセージを聞いた。

「中小企業診断士試験は覚えることが多いので、一年で合格することが難しいと思います。勉強していけば報われる時がいつかくると思いますので粘り強く頑張っていただきたいと思いますし、資格をとって中小企業診断士として活動していればいつか交わることもあると思いますので、仕事や研修を一緒にやれればと思います。頑張ってください。」 豊田さんは笑ってメッセージを伝えてくれた。








井部 雅章

井部 雅章 取材の匠メンバー、中小企業診断士(登録予定)
2023年度中小企業診断士試験合格。他に簿記やIT関係の資格を有する。大学院卒業後、大手IT企業に就職し、20年近く同企業に勤める。当初はSEとしてシステムの提案、開発、運営管理支援などを行っていたが、営業に異動。営業としては公共機関向けにシステムの提案やシステム導入後のアフターフォローを担当している。

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