【第3回 自分の可能性を最大化してくれる資格】
過去の記事:第1回、第2回

3回目の1次試験で合格を勝ち取った青柳さん。第3回は、2次試験への取り組みと合格後の変化、彼女が考える診断士資格の魅力に焦点を当てる。
2次試験対策で経験した「開眼」
1回目の2次試験は不合格に終わった。1次試験が終わってから2次試験までの期間は短く、どういう戦い方をすればよいかという情報をかき集め、過去問に取り組んだが、試験の感触を少し掴む程度にしか学習は進まなかった。しかし、2次試験を受験した印象について青柳さんは「2次試験ってめちゃくちゃ面白い。だからあと1年しっかり勉強して来年絶対に受かろうと思って、ますますやる気に火がついた」と語り、2回目の挑戦には1年間をかけてじっくりと取り組むことにしたという。
青柳さんは中小企業診断士の2次試験に臨む過程で、試験の本質を理解し、何を解答すればよいのかということに「開眼」した。彼女は12年分という膨大な量の過去問を解く中で、異なる予備校の解答アプローチを比較し、もっとも適切と思われる解法を選び、自分なりの理解を深めた。そしてそれぞれの科目に普遍的な法則があることを発見したのだった。「私もその開眼というものを経験したんです。ある時にあー、わかった、この2次試験わかっちゃったみたいな感じで、法則が見えて」と青柳さんは振り返る。
この法則を基に、青柳さんは自らの手でまとめノートを作成した。そのノートには、様々な事例に共通するポイントやミスをしやすいポイント、答案の書き方のテクニックやその元となる考え方が網羅されていた。青柳さんはこのノートを「自分のオリジナル参考書」と称し、試験前にはこれを何度も読み返すことで、内容を完全に自分のものとした。「結果的に自分で作ったノートをひたすら読み返して、ひたすら過去問を解くことで、安定的に答案が書けるようになった」と青柳さんは語る。この独自のノート作成と徹底した過去問の演習が、青柳さんの2次試験突破に大きく貢献した。彼女はこの手法により、試験の本質を把握し、合格点を獲得する技術を身につけたのである。
合格前後で起こった変化
青柳さんにとって中小企業診断士2次試験の合格発表の日は、忘れがたい1日であった。青柳さんは当時のことを鮮明に振り返る。その日、彼女は有給休暇を取り、発表のリストで自分の番号を探した。番号を見つけた瞬間、声にならない声を上げ、涙が止まらなくなった。この合格は、長い期間の努力と数々の挑戦の結果であり、その喜びは計り知れないものであった。
試験合格前後で、青柳さんの世界観や自己認識に顕著な変化が見られた。試験の準備期間中、彼女は自己を客観視することを学び、必死になりすぎることの危険性と、適度な距離感を持つことの大切さを理解した。「私にとってこの試験への挑戦は、資格取得ということだけでなく、私の人生全体というか自分の性格にすごく影響を与えた」と彼女は振り返る。また、彼女の人間関係にも顕著な変化が見られた。中小企業診断士としての資格を得たことで、多くの新たな人々との出会いがあり、彼女のネットワークは大きく広がった。青柳さんは、「合格したら、爆発的に人脈が広がったというか、これまでだったら絶対知り合えないような業界の人と知り合えて、目の前の世界が、ぶわぁーって広がったような感じですね」と語った。これらの新しい関係は、彼女にこれまで接点のなかった多様な業界の人々と交流する機会を提供した。
可能性を最大化してくれる資格
青柳さんは中小企業診断士の資格について、「本当に、中小企業診断士の資格は自分の可能性を最大化してくれる資格だと思います。自分の働き方やキャリア、人生をどんな形にでも自分でデザインできる非常に自由度の高い素晴らしい資格です」と語る。この言葉からは、中小企業診断士の資格が働きがいだけでなく、人生全体においても大きな影響を与えうることが伺える。
さらに、青柳さんは試験の困難さに触れつつも、それを乗り越えた先にある世界についてこう語る。「試験は簡単ではありませんが、合格がゴールではなく、試験に合格したところがスタートラインです。そこからとても楽しい世界が始まります」この言葉からは、中小企業診断士としての資格取得後に広がる無限の可能性が感じられる。また、中小企業診断士合格までの準備期間は、資格取得後の実務における専門性を高め、個人のキャリアや人生を豊かにするための重要なステップであると青柳さんは強調している。中小企業診断士としての活動の本質は企業や働く人々の支援であり、その活動の一つ一つ、出会いの一つ一つが自分自身の成長にもつながると彼女は信じているのである。

清水 一茂 取材の匠メンバー、中小企業診断士
広島県福山市出身、東京都荒川区在住。SIerのシステム開発部門において、製造業向けシステムの要件定義から設計・開発および検証・導入業務をシステムエンジニア兼プロジェクトマネージャーの立場で従事。現在は独立診断士として、公的機関の窓口相談員や顧問として活動しており、今後はシステムエンジニア・プロジェクトマネージャーとしての業務も拡大する予定。趣味はコミュニティ参加やゲーム、心理学、街の散策など。
