【第3回 資格が拓く新たな世界――自由と価値を求めて】
過去の記事:第1回、第2回

40代で中小企業診断士に挑戦し、5回目の受験で合格。IT業界に身を置き、資格を通じて人脈と可能性を広げている西晃さん。第3回は今後の展望に迫ってみた。
独学の先に広がった世界
西さんにとって、中小企業診断士試験の合格は通過点に過ぎず、更なるキャリアの幕開けだ。今の勤務先では診断士業務を直接行う機会はほとんどないが、「社外のつながりが急速に広がった」と語るように、資格を通じて得た人的ネットワークの価値は計り知れない。
「受験は完全な独学で、外とのつながりがなく情報が限られていて視野も狭くなりがちでした。でも、実務補習に参加して診断士協会に入ったことで、一気に世界が広がったんです」そこには、日常の業務では接点のなかった多様な業界・職種の人々との貴重な出会いがあった。現在は東京都診断士協会の城西支部に所属。自宅から近く、気軽にイベントへ参加できる立地に加え、支部の和やかな雰囲気も入会の決め手だったという。
さらに、より実践的な学びを求めて、複数の研究会や支部の部活動にも積極的に参加。「勉強するだけなら正直市販のテキストや動画コンテンツで事足ります。でも、人脈と実践経験を得られるのはリアルの場に参加した時だけです」そうした姿勢は、受験時代とはまた違った挑戦を意味している。
目指すのは、自由で変化に満ちた人生
診断士資格取得後、西さんのキャリア観にも変化が現れた。今すぐということではないが、遠い将来のビジョンとして独立など複数の選択肢を並行して考えているという。
背景には、実際に独立している人々との出会いや、本業のIT分野でのフリーランス的な働き方の可能性を実感したことがある。もちろん不安がないわけではない。特に、会社員の安定した給与に対する安心感は大きい。「若い頃だったら真っ先に独立していたと思いますが、今は今の立ち位置も好き。なので、将来の可能性に向けていろんな道を想像しています」と率直に語る。
もしも始めるのであれば、今まで経験してきた業務アプリケーションの領域を軸に副業としてスタートし、攻めのDXとしてWEBマーケティングなど展開する構想を描いている。その中でも、特に「観光DX」には強い関心がある。全国通訳案内士の資格も持ち、訪日外国人への文化紹介とITの融合という、他にはない強みを活かせる分野だ。「将来性や社会的意義もあり、シナジーがありそうだと感じています」
起業をしてみたいと思ったこともあるという西さんだが、「人の人生を背負うような重責は正直苦手」とも打ち明ける。それでも、「いろんなことをやるには組織化が必要かなという気持ちもある」自由で柔軟な働き方を維持しつつ、将来的には場所や時間に縛られない形での事業展開にも憧れているという。「最終的には世界中を回ってみたいですね。ヨーロッパのまだ行ったことのない国も含めてすべて回ったり、アフリカなどにも行ってみたい」語り口からは、西さんの柔軟な価値観と前向きな姿勢が感じられた。
読者へのメッセージ
中小企業診断士の資格を取得した今、後悔しているのは、完全に独学だったこと。試験だけでなく、その先の情報や人脈も含め、もっと早く知っていれば…と西さんは語る。SNSやWEBだけの情報に頼らず、リアルなつながりを持つことの大切さを、今だからこそ実感している。
「1次試験を目前にして不安な方も多いと思います。でも、科目合格だけでも大きな一歩。仮に受からなかったとしても、得られるものは必ずあります。勉強できていなくても、疲れていても、緊急の用事がない限り、まずは会場へ足を運ぶことをお勧めします」
最後に、西さんはこう付け加えた。「1次試験はマークシートです。ラッキーな正解もあるかもしれません。だから、とにかく受ける。全力で挑んで、中小企業診断士としての新たな一歩を踏み出してほしいです」迷いながらも前へ進もうとするその姿勢が、新たな扉を開く。西さんのように、思いがけない出会いや広がりが、きっとその先で待っている。

内山 心結 取材の匠メンバー、中小企業診断士
海外大学を卒業後、日本に帰国し宝飾品業界にて営業職に従事。店長としてマネジメント、店舗管理、社員向け研修を担当。その後IT業界へ転職し、コンサルタントおよびカスタマーサクセスに従事。業務要件整理・課題抽出・データ分析を基にしたDX支援に携わる。現在は「AsIAmコンサルティング」代表として、中小企業向け補助金申請業務・事業計画書作成・女性活躍推進研修を実施。東京都中小企業診断士協会中央支部所属。
