【第2回 諦めない心が掴んだ合格】
過去の記事:第1回

H.Mさんは2024年9回目の挑戦で中小企業診断士試験に合格した。建設業関係の組合に38年間勤務し、2年後の定年退職後は独立開業を目指している。第2回は、2次試験での挫折とそれを乗り越えた勉強方法についてうかがった。
環境を変える決断
初めての2次試験が残念な結果に終わった後は、2次試験を中心にした勉強に切り替え、資格学校のある大阪に通い続けた。しかし、2次試験での不合格が4年連続で続いた。「ある程度自分のパターンができてくると、どうしても同じような表現が文章に出てしまう」と分析し、思い切って名古屋の学校へ転校を決めた。
「先生を替えると表現の仕方もかわるかもしれないと考えた」。先生のメソッドは、学校独自のメソッドをより進化したスタイルだった。
具体的には、試験時間80分のプロセスを重視して、設問分析の精度を高め、問題文を把握したうえで重要キーワード抽出の編集力を高める手法だ。「名古屋の学校の先生のメソッドが自分には合っていたかもしれない」と当時を振り返る。
さらに工夫で実力向上
資格学校を変更してメソッドもしっくりきていたが、それでも何かが足りないと感じていたH.Mさん。さらに別の学校の2次試験対策の通信講座を受講した。
そこで実践したのが「100字訓練」というトレーニングだ。毎日出題される設問に対し、100字以内で解答を作成する練習を1年間継続した。「この訓練により、短時間で要点をまとめる力がついた」と実感している。
2024年の2次試験では、これまで以上に与件文のキーワードと設問文のキーワードの紐づけを意識して臨んだ。「受験番号があった時は信じられない思いだった。他の人に『番号あるよね』と確認してもらった」と笑いながら振り返る。
モチベーションの維持
9年間という長期間、受験勉強のモチベーションを維持できた理由はどこにあったのだろうか。
「資格学校の仲間で勉強会を作っていたので、わからない部分を聞いたり、情報交換しながら交流できたのが大きかった」と仲間の存在をあげる。しかし、それ以上に大きかったのは、「中小企業診断士の資格を取って、経営者の支援をしたいという思いがずっとあった」ことだった。
実際、試験勉強中に知人が経営している中小企業の支援も行った。
「補助金を申請したい」と相談を受け、「手伝うよ」と応じたのがきっかけだ。企業、大学、公的機関が連携して新しいものを創るという補助金で、1年かけて準備して提出した結果、見事に採択された。
「その時はほっとした。今なら怖くてできないな。仕事として請け負うとプレッシャーも違うので」と謙遜しながら振り返る。中小企業を支援したいというH.Mさんの純粋な思いが、資格取得へのモチベーションになっていたのである。

大西宏典 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大阪府在住。2022年に中小企業診断士試験に合格。エネルギー会社での勤務を経て、2025年1月に独立開業。「企業価値を高めながら、持続可能な社会への貢献」を理念とする。省エネルギーの専門性を活かした脱炭素経営支援を通じて、経営者とともに未来価値の創造を目指している。
