【黒田智子さんインタビュー】1次試験4回2次試験3回、不屈の挑戦が生んだ診断士合格者が示す未来への道

【黒田智子さんインタビュー】1次試験4回2次試験3回、不屈の挑戦が生んだ診断士合格者が示す未来への道

【第3回 あきらめない先につかんだ合格 ~多年度受験生へのエール~】
過去の記事:第1回第2回

【黒田智子さんインタビュー】

金融機関の法人営業担当である黒田智子さんは、日々、中小企業の経営者と向き合っている。中小企業診断士資格の取得に向け、1次試験、2次試験と立ちはだかる壁に、持ち前の明るさとあきらめない気持ちで取り組み、無事合格をつかんだ。第3回は、苦闘の末につかんだ合格、今後の展望について詳しくうかがう。

まさかの合格発表、驚きと喜び

1次試験4回、2次試験3回。長期にわたる受験生活を乗り越え、ついに運命の合格発表の日を迎える。一度目、二度目と2次試験の手ごたえが変わらなかった黒田さんは、落ちているつもりでいたという。合格発表もすぐに確認せず翌年の試験に備え、既に2次試験専門の通信教育を申し込んでいた。

そんな最中、合格発表があったことを思い出し、何気なく確認してみた。自身の受験番号を見つけた時の驚きは大きかった。合格という事実を認識した途端、「大慌てでした」と当時の状況を振り返る。なぜなら、2次筆記試験の合格発表後、約1週間で口述試験があるからだ。落ちていると思っていた中での合格は、喜びと同時に口述試験の準備も急いでしなければならい。まさに「サプライズ」だった。わからないまま3年間が過ぎてしまったというのが正直なところであると、彼女は率直に語る。手ごたえが感じられない中でも、気持ちを保ち続け、試行錯誤を続けた日々があったことは確かだ。

積み重ねた経験を力に

長期にわたる受験生活をやり遂げた経験は、黒田さんにとって大きな財産となった。合格後、まずは企業内診断士として足場を固めている。また、東京都中小企業診断士協会に所属し、コンサル塾に参加することを決めている。コンサル塾に参加する理由の一つは、人前で話すのが苦手なため、「中小企業診断士として必要となる人前で話す」という訓練をしたいという思いがあるからだ。日頃から中小企業の経営者と話す機会は多いものの、これまではファイナンシャルプランナーとしても、法人営業担当としても、すべて自己流で進めてきたため、客観的な意見を聞く機会がなかったという。コンサル塾では、客観的に自分を見てもらうことで力をつけたいと考えている。

中小企業診断士として社会へ

黒田さんは将来的には財務・資金調達を専門とする中小企業診断士として活動したいという。そのため、短期的には、現在の会社でキャピタル系の部署へ異動することを希望しているという。希望が叶うかどうかは不透明だが、異動が実現すれば、今の職場とは違う形で知識や経験を活かせると考えている。

診断士資格を活かした活動の方向性についてうかがった。中小企業診断士は特定の専門分野がない代わりに幅広い知識を持っている。それぞれの企業にはそれぞれ隠れた価値があるが、自分たちの価値に気づいていない会社は多いと考えている。それを見つけ出すことで、企業自身の価値を伸ばしていく手助けをしていきたい。「これいいですね」と伝えると、「こんなのがよいの?」と驚かれることもあるという。そうした価値をアピール材料として見出し、一緒に伸ばしていきたいと彼女は語る。

最後に、中小企業診断士を目指して勉強している受験生、特に多年度受験生への力強いメッセージをお願いすると、こう語ってくれた。「やりきることによって、精神的な支え、周囲からの評価など得られるものは大きいと感じている。やり遂げた先には新たな道が開け、そこで自身の求めるものが見つけられると思う。一つ一つ自身の夢に向かっていく姿を、みんなで共有し、励まし合いながら、同じ中小企業診断士としてがんばっていきたい」。苦労を乗り越え、合格という扉をこじ開けた彼女の言葉は、多くの受験生、今まさに壁にぶつかっている受験生にとって、大きな希望となるに違いない。








清水 宏

清水 宏 取材の匠メンバー、中小企業診断士
埼玉県在住。大学卒業後、通信事業者においてプロジェクトマネージャー・システムアーキテクトとして、システム開発の業務に従事。2022年技術経営修士(MOT)。2024年中小企業診断士登録。診断士資格取得を機に診断士受験生向け支援活動に取り組む。趣味は、テニス・ランニング・音楽フェス/ライブ参加。

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