【小山剛史さんインタビュー】20代の決断―若さの壁を中小企業診断士で越える

【小山剛史さんインタビュー】20代の決断―若さの壁を中小企業診断士で越える

【第3回 新たな扉の向こうへ】
過去の記事:第1回第2回

広告・Webマーケティング業界で働きながら、2025年度に中小企業診断士試験に合格した小山剛史さん。全3回にわたるインタビューの最終回では、合格までの3年間を支えた学習環境や習慣、資格取得の先に広がる未来、そしてこれから挑戦する受験生へのメッセージをうかがった。

気持ちを保つ環境づくり

いかにして気持ちを切らさずに学習に取り組むかーそれは小山さんにとっても課題であった。「同じ場所で同じ姿勢で勉強していると、気分が落ちてしまうこともあったので、会社、図書館、カフェ、自宅などを使い分けていました」という。また、昇降式のデスクを活用し、立って勉強することで集中力を保つ工夫も取り入れた。「集中できる環境とルーティンを自分で作ること大切だったと思います」と小山さんは語る。日々の気分や疲労感に合わせて環境を柔軟に変えて集中力を保つことが、長期戦をやり遂げる秘訣だった。

家族の理解と支援が支えた日々

3年目の受験は、ライフイベントである「結婚」と重なった。忙しい日常の中で勉強時間を捻出するには、本人の努力だけでなく、周囲の理解と協力が不可欠だった。平日は2時間、週末はまとまった学習時間を確保しながら、地道に努力を続けた。「妻は干渉せず、でも、ちゃんと応援してくれていました。『頑張れ』って自然に声をかけてくれる存在でしたね」と、小山さんは感謝を込めて語る。家族の応援があったからこそ、苦しい時期でも学習を継続することができた。

座右の銘「巧遅拙速」が導く前進

小山さんが大切にしている言葉に「巧遅拙速(こうちせっそく)」がある。時間をかけて上手くやるより、まず動いて結果を出すという考え方だ。「自分はどちらかというと慎重な性格。だからこそ、この言葉を大切にしています。じっとしていてもチャンスは来ません。まず動くことが大切だと思っています」と小山さんは話す。この姿勢はベンチャー企業で培われたものだ。そして、この姿勢は資格取得後にも活かされている。合格後、小山さんはすぐに受験生支援団体、愛知県中小企業診断士協会など、さまざまなコミュニティ活動に飛び込んだ。そうした行動が新たな出会いや可能性を連れてきている。

資格学習が変えた視点と、広がる可能性

「本業のWebマーケティング支援に加えて、中小企業診断士として新しい領域に踏み出したいです。幅を広げることで、より包括的な経営支援ができると思います」。専門性を深めながら、同時に幅を広げる。それが小山さんの描く展望である。また、学習を通して、「思考の幅」が広がったと語る。「例えば、小売店の店舗の陳列や客動線を見て、そこにある理論に気づくようになりました」という。知識が視点を変え、日常生活の中にも学びを見出す感覚。それがプロとしての思考力を日々育てている。視野と思考の幅が広がった今、小山さんはビジネス全体を俯瞰できるマーケター、コンサルタントを目指しているという。

強い意志が合格につながる

3年にわたる挑戦で合格を掴んだ小山さん。「強い意志を持つだけで、絶対に合格率は上がります。知識と経験は確実に蓄積されていくので、続けていれば必ず受かります」と勉強に励む受験生へメッセージを贈る小山さん。その言葉には、挑戦を重ねてきた人だけが持つ実感がある。

若さという壁に直面し、それを乗り越える手段として中小企業診断士の資格取得を選んだ小山さん。3年間の歩みで手に入れたのは、資格だけでなく、新たなつながりや可能性、そして困難に立ち向かい続ける強い心だった。








菅田 裕之

菅田 裕之 取材の匠メンバー、中小企業診断士
製造業でエンジニアとして15年以上勤務し、海外工場立上げ、研究から製品化までを一貫して経験。組織統廃合や新組織の立上げをマネージャーとして主導し、新卒採用では100名以上のキャリア支援にも携わる。現在はDX人材育成を担当。マーケティングを駆使し、1,400名以上への研修講師実績を持つ。2025年中小企業診断士登録。愛知県在住。趣味はキャンピングカー製作と山車祭り参加。

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