【第3回 中小企業診断士の価値とは】
過去の記事:第1回、第2回

現在、大手企業のグループ会社の代表取締役を務め、長年ITに携わりキャリアを築いてきた大家正嗣さん。中小企業診断士の資格を取得するため、3年間にわたり挑戦を続けた。「中小企業診断士の知識は、会社経営において不可欠だと実感した」と語る。
第3回では、大家さんが考える中小企業診断士の価値について深く掘り下げ、今後の取り組みについて話をうかがった。
診断士資格取得による変化と影響
中小企業診断士の資格を取得したことで、大家さんの考え方には大きな変化があった。特に、会社の経営方針や経営戦略について議論する際に、その影響を実感しているという。会社の強みは何か、ターゲット市場に対してどのようにアプローチすべきか、といった点をより深く、体系的に考えられるようになった。「中小企業診断士の勉強をしていなかったら、ここまで深く掘り下げて考えることはできなかった」と振り返る。この体系的な思考が身についたことで、「実際の仕事で生きる場面が非常に多い」と感じているという。
資格を持っていること自体も、大きな自信につながっている。中小企業診断士は中小企業向けの資格と思われることがあるが、そこで得た知識やスキルは、彼が現在身を置くような大企業においても十分に通用すると断言する。企業がどの方向へ進むべきかという戦略立案や、社員のモチベーション向上といった経営者としての悩みは尽きない。しかし、診断士資格の勉強で得た体系的な知識が、こうした課題解決に自信を持って取り組むための基盤になっている。
「ジェネラリスト」としての中小企業診断士、そして未来へ
中小企業診断士という資格を一言で表すなら何か―そう問われた大家さんは、「ジェネラリスト」と答えた。1次試験では7科目という幅広い分野を学習し、2次試験では会社全体を俯瞰する能力が求められることから、その表現が適切だと感じているという。
「現代のビジネス社会では専門性(スペシャリスト)が重視されがちだが、ジェネラリストの重要性も改めて認識されている。私自身、経営に携わる立場として会社全体を見ることができるジェネラリストの必要性を感じている。だからこそ、中小企業診断士としての知識は価値がある」と強調した。
今後の展望として、まず中小企業診断士として得た知見やスキルを、本業である企業経営に活かしていく考えだ。具体的な目標の一つとして、会社のバリュー(行動指針)の浸透を挙げた。
前任の経営者はミッションとビジョンのみを策定していたため、大家さんはバリューの重要性を感じていた。そのため、行動指針としてのバリューを明確に定義し、社内に浸透させていくことに中小企業診断士の知識を活かしたいと考えている。
中小企業診断士を目指す人々へのメッセージ
最後に、中小企業診断士を目指す人々、特に再受験者へのメッセージを求めると、大家さんは自身の経験を踏まえ、こう語った。
「試行錯誤するプロセス自体が、後々の成長につながる。さまざまな勉強法を模索し、自分に合ったやり方を見つけ、それを最適化していくことが重要だ」とエールを送る。
もし今、2回目の不合格を知った時の自分自身に声をかけるとしたら、「半年間しっかり休んで、効率的な勉強法を探し、自分に合う型を早く作って実践しろ!」と伝えるだろうと述べた。その言葉からは、苦労の末に掴んだ合格と、そこから得た学びへの確かな手応えが伝わってくる。
3年間にわたる挑戦は、彼にとって単なる資格取得以上の価値をもたらしたに違いない。

H.T 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大学卒業後、化学業界において、商社・メーカー双方で営業・マーケティング業務に従事。幅広い製品に関わり、多数の海外企業との交渉経験を通じて異文化理解を深めてきた。趣味はドラマ鑑賞、スポーツ観戦。
