【安井伸太郎さんインタビュー】診断士試験を経て成長できた伝える力

【安井伸太郎さんインタビュー】診断士試験を経て成長できた伝える力

【第2回 安井式アジャイル型勉強法】
過去の記事:第1回

安井伸太郎さんは鉄鋼商社に勤める企業内診断士だ。経営企画部という部門で、経営陣はもちろん、財務、人事、営業など多様な部門とつながり、会社全体を動かしていくのが仕事だ。2024年に中小企業診断士試験をストレート合格。第2回は安井さん独特の試験勉強法に迫る。

最初の1ヶ月で3,000ページを読破

診断士試験への挑戦は、仕事の延長線上にあった。安井さんはほぼ独学でストレート合格を果たした。しかし、そこに安井さんの「学びの哲学」が見え隠れする。

「テキスト3,000ページあると思うのですけど、端から読むことからまず始めました」

最初の1ヶ月はテキストを全部読んで、全体感をつかむことから始めた。9月から学習を始めたので、1次試験まで11ヶ月と勉強期間を見積もった。安井さんは「アジャイル型」で学習を組み立てた。年間計画を最初は固定せず、1~2週間単位での振り返りと修正を繰り返すスタイルである。1ヶ月で進んだ成果を確認し、そのうえで次はこれをやろう、と都度柔軟に調整していた。年間計画のカリキュラムを組む予備校とは、異なるアプローチである。

日常生活にリズムを作る

全体でかかる学習時間を1,000時間と考え、1日にかけられる学習時間も見積もった。勉強する時間は主に早朝だ。平日は毎朝1時間半から2時間を確保し、夜は仕事の状況に応じて調整。残業が少なかったら何時間やろう、など1週間の中で柔軟に時間を調整した。週末には8時間勉強する日もあったという。特に重視したのが生活の中で勉強のリズムを作ることだった。リビングのテーブルにテキストを置き、自然と手が触れるような環境にした。こうした小さな工夫を積み重ね、学習を日常の一部に溶け込ませていった。

「モチベーションはやってくる内に出てくるものだと思っているので。よほど集中力が足りないなって思ったら、いったん諦めてYouTubeを見たりして、リフレッシュさせました」

集中力が続かないときは一度休んで、また戻る。日常にリズムを作り、短期的なサイクルを回してゆく方法も独特だ。通勤時間や休憩時間にスマートフォンで解説動画を視聴し、スキマ時間を活用した。独学ながらも多角的なアプローチを意識したという。

学習と実務の接点

安井さんは最初に全科目を一通り読んでから、特に苦手だった「経営情報システム」と「中小企業経営・政策」に時間を割いた。この2科目については暗記科目だったため、細かい論点ばかり覚えようとしていたが、出題傾向を見てポイントを絞るべきだった、と反省も口にする。傾向を見てれば、テキストすべてを読み込む必要ななかったのかもしれない。一方、「財務・会計」は日頃の実務経験と簿記の知識が役立ち、大きなアドバンテージとなった。合格点を十分に取れる自信はあった。そして「企業経営理論」は、仕事での実体験が重なり、面白く感じた科目だったという。

「前職は事業部制組織、今の会社は機能別組織になっているのですけど、その良し悪しがテキストに載っているままだなと思いました。悪い点の解決策も、マトリクス組織に変えるとか、うちの会社に使えるかな、と考えたりしましたね」

会社やプライベートのコミュニティなどさまざまな組織があり、しくみがきちんと言語化されている。自身の会社についてもより深く考えることができた。知識の積み上げにとどまらず、それをどう使うのか。経営企画部として組織経営に携わる安井さんだからこそ、学んだ知識が仕事に活用できると感じられたのだろう。 安井さんの学習は、常に実務との接点を意識したものであり、成長への原動力となっている。








永岡 伸一

永岡 伸一 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1974年生まれ。埼玉県出身。東京都在住。大学で経済学を学び、卒業後に金融機関に入社。法人および個人営業担当。全国各地の企業オーナー、地権者などを中心に、資産運用コンサルティング提案に従事。証券アナリスト。1級ファイナンシャルプランニング技能士。宅地建物取引主任者。2020年中小企業診断士登録。

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