【田畑一佳さんインタビュー】 診断士に必要な能力は、,“知識×経験×人間力”。若手経営者の水先案内人

【田畑一佳さんインタビュー】 診断士に必要な能力は、,“知識×経験×人間力”。若手経営者の水先案内人

【第2回 小規模事業者のための診断士とは】
過去の記事:第1回

【田畑一佳さんインタビュー】

診断士合格後も社内に残り,人材育成に精を出した田畑さん。12年前のリーマンショックをきかっけに独立し,小さなご縁を大切にすることで順調に売上を伸ばしてこられました。その恩返しの気持ちが,後輩診断士の育成支援につながっていると感じました。

がんばるひとの味方

――診断士資格取得のきっかけについて教えてください

大学卒業後は大手メーカーで製造関係の仕事をしていました。そこでは,業績アップや品質向上のために協力会社に対して,非常に厳しい要求をしていました。それが原因で立ち行かなくなる中小事業者を何社も見るうちに,「本当にこれでいいのか」という疑問が大きくなり,経営について正しい知識を身につけるため,診断士の学習を始めました。

――合格後は,すぐに独立されたのでしょうか

元々は独立目的ではありませんでしたので,資格取得後は,学んだ知識を後輩にも伝えたいと思い,社内勉強会を開きました。大手のメーカー組織の中で働いていると,財務関係やマーケティングが苦手な人も多く,非常に好評でした。その後45歳の時にリーマンショックの影響で,早期退職希望者の募集があり,応募しました。会社からは慰留されましたが,家族の反対もありませんでしたし,それほど迷うことなく独立しました。

いただいたご縁にしっかり応えること

――独立前から見込み客はお持ちだったのですか

ありませんでした。最初の仕事は,兵庫県協会プロコン塾の先生からのご紹介いただいたISO 9001の取得をしたい企業さんのご支援でした。その後も,それほど一生懸命営業活動もして来なかったのですが,いろいろな縁が繋がって,繋がって,今に至っていると感じです。ご縁をいただいた先輩方に感謝しかないです。

――お仕事の紹介をもらうコツがあるのですか

年賀状や暑中見舞いなど季節のあいさつは欠かさずしています。つい最近顧問契約に繋がった支援先も暑中見舞いがきっかけでした。

また,トップと繋がらないと仕事にはなっていかないと感じており,できるだけ社長さんと話をするようにしています。そもそもトップが変わらないと会社や組織は,変わっていかないので,そうなると成果が出せないということにも繋がりかねません。特に滋賀県は,農家と兼業で製造業をされていることも多く,小規模零細事業者が主流ですから,業績も社長さん次第というところが多くなります。

――田畑さんの考える診断士とは

まず一つに成果を出せること。そして,その成果を自分の成果ではなく,事業者さんの成果として,一緒に喜べる人材です。

例えば営業支援の現場でも,ビジネスマッチングのような短期的な成果を追うのではなく,根本的な課題に取り組み,その会社が自力で提携先を探せるようになるような支援をしていくべきです。

逆に,だめだなと思うのは,事業者さんの話を聞かず,上から目線で,一方的に社長さんに助言と称して自分の考えを伝えることで満足するようなタイプです。そういうことがいかに社長さんに通じていないかということが分かっていないのです。

山本 哲也

山本 哲也

取材の匠メンバー,中小企業診断士

日本で最も早くフランチャイズチェーンシステムを取り入れ普及させたフランチャイザーに1989年から勤務。長年,清掃衛生管理グループに所属し,清掃スタッフを皮切りに,全国のフランチャイズ店の育成・指導,事業計画の策定,新規事業開発,法人営業などを経験してきた。“リーダーの能力を超える事業成長はない”と考え,人の成長ありきの支援を実施。趣味は,アウトドア全般と飲み歩き。とにかくじっとしていられないひと。

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