【第３回 その人のポテンシャルを引き出したい】
過去の記事:第1回、第2回
2017年に独立し、企業の研修講師として活躍されている猪瀬さん。気さくで親しみやすい雰囲気の奥には、仕事に懸ける熱い想いがありました。
人の成長に貢献するということ
――「話す」お仕事のやりがいとは。
研修の仕事では、「ためになった」とダイレクトに感想がもらえることや、受講生の成長が実感できることですね。コールセンターの会社で「職場の問題解決研修」を6か月のプログラムでやったとき、最初はやらされ感満載だった受講生が、回を重ねるごとに主体的に取り組んでくれるようになりました。最終回では全員が成果を発表するのですが、それまでずっと悩んでいたり、おとなしい印象だったりした人が、急に自信満々で話し始めることがあります。「この人こんな風に変わってくれたんだ」、「周囲にも良い影響を与えているんだ」と思えるときが、この仕事をやっていて良かったと実感する瞬間です。
――将来の展望を教えてください。
今まで企業講師の仕事は誰かから紹介を受け、指定されたテーマで仕事をしていました。紹介による仕事だと、単価の上限があったり、スケジュールのコントロールが難しかったりというデメリットがあります。これからは自分のテーマ、商品を明確にしていきたい。まずは、個人向けのセミナーを開催しようと考え、もともと興味のあったコンテンツのライセンスを取得するために有料講座に通うなど、先行投資しながら準備を進めているところです。
自主セミナーを開催するとなると、プロモーションや顧客との関係性作りも考えなくてはならない。これはまさに中小企業の経営者の悩みを自分自身で体験することになるので、新たな気付きにつながるのではないかとワクワクしています。
関わる全ての人の自己実現を応援したい
――猪瀬さんが仕事に懸ける想いを教えて下さい。
これまでの自分のキャリアを振り返ると「誰かの自己実現を応援すること」に関わってきたのだと思うのです。企業研修でも同じことが言えます。講師である自分が会社と働く人の橋渡しをして、一人一人のポテンシャルを活かし、いきいきと働くことができる助けになれば、会社にとってもその人にとってもWIN-WINになる。「人が伸びれば会社も伸びる」――これが私の信条なのです。
創業、転職、サラリーマンなど、働き方には様々な形がありますが、どれも自己実現の手段であって、根っこにあるのは「その人が何を実現したいのか」ということ。誰もが自分の中に潜んでいる可能性を信じ、少しでも前向きになってほしい。そこを私は応援していきたいです。
川瀬 朋子取材の匠メンバー、中小企業診断士
千葉県出身。大手小売企業に入社以来、食品部門にて店舗開発・バイイング業務、経営企画部門にて組織改正・企業理念・財務企画に従事。2019年に中小企業診断士登録後は、小売業での現場経験と経営的知見を生かし、雑誌・書籍執筆や企業支援に携わる。
