【第1回 自己分析から「話す」仕事へ】
2017年に独立し、企業の研修講師として活躍されている猪瀬さん。診断士の仕事と言われている「診る・書く・話す」のうち、「話す」仕事に注力している理由とは?
自分の強みは「話す」こと
――現在のお仕事について教えてください。
診断士の王道の仕事は「中小企業の診断」だと思いますが、私の場合は仕事の7割が講師業です。残りの3割は中小企業診断士協会等のさまざまな仕事をお受けしています。
講師業の大半は企業研修で、研修先は大手企業が半数以上を占めています。人材育成や組織活性化の分野を中心に、次世代リーダー研修、新入社員研修などを手掛けています。
――「話す」仕事をメインにしようと思ったのはなぜですか。
診断士の勉強をしているとき、仲間内の勉強会で「猪瀬が勉強会のリーダーをやるとうまく場が回る」と言われて、自分は意外とファシリテーションに向いているかも、と気づいたのです。周りの仲間を観察して、コンサルティングよりも講師業のほうが他と差別化できるかもしれないと考えるようになりました。コンサルティングをやりたい人はたくさんいるけれど、話すことに対しては苦手意識を持つ人が多いため、狙いやすい分野なのです。それに、単価も高いと聞いたので…(笑)。
――とても気さくで親しみやすい雰囲気をお持ちです。そこも強みの一つなのでしょうか。
そう思っていただけて光栄です(笑)。人に何かをお伝えするのは自分に向いていると思います。独立前のキャリアでは人前で話す機会はそれほど多くありませんでしたが、もともと人前で話すことに苦手意識がなく、むしろ人よりも好きなことだと思います。そこに経営資源を投入する価値があると考えました。
地道な努力が実を結び、憧れの講師業へ
――講師の案件はどのようなルートで得ているのですか。
パートナー登録をしている企業や、講師業で活躍されている診断士の先輩から紹介を受けています。私は資格を取る前から「話す仕事をメインにしていきたい」と考えており、合格してからは色々な人に「講師業をやってみたいです」とアピールしていましたから、少しずつお仕事を紹介していただけるようになったのだと思います。
――「話す」スキルをどのように磨いていったのですか。
合格してから話す技術の向上に役立ちそうな研究会にいくつか参加しました。また、診断士の研究会以外でも、有料のセミナーなどに自主的に参加してスキルアップに努めました。
川瀬 朋子取材の匠メンバー、中小企業診断士
千葉県出身。大手小売企業に入社以来、食品部門にて店舗開発・バイイング業務、経営企画部門にて組織改正・企業理念・財務企画に従事。2019年に中小企業診断士登録後は、小売業での現場経験と経営的知見を生かし、雑誌・書籍執筆や企業支援に携わる。