【河野今朝成さんインタビュー】長野県野沢温泉村で旅館を経営しながら地域貢献を考える。感謝、継続、挑戦を胸に

【河野今朝成さんインタビュー】長野県野沢温泉村で旅館を経営しながら地域貢献を考える。感謝、継続、挑戦を胸に

【第3回 資格を存分に活用していく】
過去の記事:第1回第2回

歴史ある温泉地、長野県野沢温泉村で「河一屋旅館」の経営と地域支援事業という二足のわらじを履く河野今朝成さん。そんな河野さんに、第3回は診断士取得後の変化や活動、今後の展望などをうかがいました。

自身で補助金申請にチャレンジ

――中小企業診断士の資格を取得した後、変化はありましたか

ここ数年、お陰様で旅館経営の延長でコンサルティングも実施していますので、もしかすると「箔」がついたかなと思っています。でも、まだ自分が中小企業診断士の資格を取得したことはほとんどの方が知らないと思いますし、まだ私自身、中小企業診断士の肩書きを使って何かしたかと言われるとしていません。

――中小企業診断士の勉強で得た知識が実際に役立っていますか

自社の社員向け人財育成研修に、模擬経営体験の一つであるマネジメントゲーム研修あります。地域の経営者にも参加いただける研修で、お陰様で好評です。私がインストラクターを務めるのですが、実際にその場で中小企業診断士の知識を活用できています。また、中小企業診断士の勉強を始めた頃、自分自身で事業再構築補助金の申請にも挑戦したのですが、お陰様で第1回公募に採択されアフターコロナ、ウィズコロナに向けての設備投資にも成功しました。中小企業診断士の勉強の知識が補助金の申請書作成に役立ったと思っています。

――同じ地域には中小企業診断士の仲間はいますか

恐らくいないと思います。この地域では、中小企業診断士の知名度は高くないですね。でも、だからこそ「希少性」が高いのだと思います。

地域と共に発展していく未来

――中小企業診断士の勉強前から始めていた地域支援事業ですが、具体的な活動を教えてください

この地域は250件ほどの宿泊施設があり、加えて小売店、飲食店も多いです。つまり、その数だけ経営者がいるということです。自社の研修への招待も地域支援事業の一つで毎月開催しており、参加者は多い時で30名近くになります。その他、補助金は経営力を高める有効な手段だと考えています。ですから、観光産業向けの補助金申請支援の依頼を個別に受けるなど、有難いことに慕ってくださる先輩、後輩も身近にいて「頑張らないと」と思っています。

――社内の人財育成が派生して地域支援事業につながっていったのですね

そうですね。私が代表になって、経営理念を造ることから始めました。その経営理念に「社員がハッピーになって欲しい」や「地域貢献」もあります。旅館業は観光産業ですので、地域の歴史を使った集客にも取り組んでおりますので、地域の経営者を巻き込んだ人財育成は、経営理念の実行だと思っています。

――旅館のHPを拝見しましたが、社員の方の写真が多かった印象ですが人財育成に力を入れている証でしょうか

私は現場の若手こそ主役だと思っています。自分たちは「失敗してもどんどんやっていこう」という社風があります。「継続は力なり」という言葉がありますが、小さなことでいいから日々の積み重ねを大事にしていきたいですし、社員にもそうであってほしいと願っています。ですから、HPには代表である私の写真はどこにも映っていません(笑)。

噛めば噛むほど広がっていく世界

――診断士取得後の次なる展望があれば教えてください

まずは、自社の事業を力強くすることです。具体的には事業承継まで見据えて、変化に耐えられる会社になっていくことです。自分の代だけでなく、次の代のことまで考えています。中小企業診断士の活動としては、継続して地域支援事業をやっていくことです。現在、お陰様で慕ってくれる地域の方々が多くなっていますので、信頼できる診断士活動を実施して、野沢が活性化していくことが私の使命だと考えています。

――今、受験勉強されている方も河野さんのように辛い時期にある方もいると思います。そんな受験生にメッセージをお願いします

私が思っていた以上に、企業や人など考えていなかったつながりができます。それは、同じ受験勉強の仲間であったり、クライアントの方だったりするのかもしれませんが、世界が広がってくると思っています。それは、人生単位でみると有意義なことだとも感じています。中小企業診断士は国家資格の一つですが、今は自分の中のフィールドが広がっている気持ちがあり、噛めば噛むほど味が出てくるような世界に参加していると思うと、ワクワクした気持ちになります。挫折もあるかと思いますが、ぜひ頑張ってください!




梶川 拓哉

梶川 拓哉 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1992年、富山県高岡市生まれ。大学卒業後から新卒で地方銀行勤務。北海道、富山県、大阪府と転勤を重ねる。その中で営業、融資事務、M&A業務を経験し、現在は事業再構築補助金やものづくり補助金の申請支援に携わる。中小企業診断士の他に、事業承継士も保有。将来的には、中小企業診断士という枠にとらわれず、地域貢献事業やスポーツ支援事業、自然貢献事業など様々なことに挑戦していきたい。

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