【河野今朝成さんインタビュー】長野県野沢温泉村で旅館を経営しながら地域貢献を考える。感謝、継続、挑戦を胸に

【河野今朝成さんインタビュー】長野県野沢温泉村で旅館を経営しながら地域貢献を考える。感謝、継続、挑戦を胸に

【第1回 未曽有の危機と共に勉強開始】

【河野今朝成さんインタビュー】

奈良時代の高僧によって発見されたという長野県野沢温泉村。歴史ある温泉地で、「河一屋旅館」の経営と地域支援事業という二足のわらじを履く河野今朝成さん。そんな河野さんに、第1回は診断士取得のきっかけと勉強方法についてうかがいました。

外部環境の急変と受験勉強の両立

――河野さんは「河一屋旅館」の経営者ですが中小企業診断士を目指したきっかけを教えてください

新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)が大きかったです。試験勉強を始めたのが、中国でコロナが確認され始めた、2019年の暮れです。その後、コロナが拡大し旅館業という業種柄、お客様が全然来なくなりましたが、会社として健全でありたい、社員にも安心して会社にいて欲しいという思いから勉強を始めました。また、観光産業は自分の旅館だけでは上手くやっていけないので、地域全体が盛り上がる必要があります。中小企業診断士の資格を取得したうえで腰を据えて地域支援事業をやっていきたいという思いもありました。

――経営者としてコロナの対応と受験勉強の両立はどのようなものでしたか

当時、コロナが拡大してお客様は減り、営業活動自体は暇な時間は多かったです。しかし、従業員の給与の確保、事業継続のための資金繰り面の調整など非常に苦労しましたし、頭を悩ませました。経営者は最終責任者であるので、一手一手の責任が重いのですが、その分試験勉強に関しては「失敗してもまた来年受験すればよい」という楽観的な感情にさせてくれました。

――経営の辛さに比べて受験勉強は楽だったということですか

いえ(笑)。コロナ対応で普段とは違うことを考えないといけなかったことに加え、時間的な制限もあり夜も朝も関係なく勉強する必要があり、決して楽ではありませんでした。

独学で黙々と学んだ受験生時代

――どのように受験勉強を進めていましたか

1年目はTACの問題集を買って独学で一人黙々と勉強をしていました。経営者という立場もあり時間的な融通は効いた部分もあったのですが、コロナ対応で多忙だった時期もあり「夜更かしすればよい」という割り切りもあったので、甲斐あって1次試験は何とかストレート合格しました。でも、1年目の2次試験は不合格で、その後2年目、3年目と2次試験対策として通信の予備校を利用しました。

――1次試験はストレート合格ですが、2次試験はどうでしたか

そうですね。特に事例Ⅱのマーケティングが大の苦手でした。今でも掴みどころがわかりませんね。3年目にやっと合格したのですが、与件文以上のことを考えず、自分でブレーキをかけながらやることが結果的に良かったと思います。3年目の本試験も通信で学んだテクニックを素直に本試験で実践して置いてきた、ただそれだけで「合格した」という感覚はありませんでした。

――1次試験はストレート合格、そのまま2次試験も合格したら夢の1発合格でしたね

コロナが始まってバタバタした状態で勉強をスタートしたので、「どうせ合格しないだろう」という気持ちが大きかったです。もっと言うと、模試は受けていないし、普段の勉強では本試験通りに時間を設定して勉強もしていませんでした。ですから、特に本試験の1次試験は科目によって時間も違うので、2日間試験を受けたときは非常に疲れ果てたのを今でも覚えています。

自分の性格と家族の存在

――通信を利用したとはいえ、一人で勉強する中でどのようにモチベーションを維持したのですか

当時から受験生向けの支援団体がいくつもあるということは知っていたのですが、後悔と言うまではいきませんが、同じ受験生との交流があればよかったと思います。確かに勉強中は孤独だったのですが、受験勉強自体、私は楽しんでいたと思います。例えば財務・会計については、会社員時代に3年間経理部に所属していましたし、法務については経営に携わる中で知っている言葉も多かったです。勉強は新鮮でした。

――自分が一生懸命勉強する一方で家族との関係はどうでしたか

私は一度集中すると面白くなって勉強しすぎるところがあります(笑)。家族も私が自営業で忙しくしている姿をずっと見てきているので、家庭の時間が無いことは常態化していました。ですから、家族は私が勉強に集中することに対して反発もなく、ただ「頑張ってね」と言ってくれましたね。あと、子供の高校受験も重なり、私も家族と共に頑張ろうという思いが強かったです。




梶川 拓哉

梶川 拓哉 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1992年、富山県高岡市生まれ。大学卒業後から新卒で地方銀行勤務。北海道、富山県、大阪府と転勤を重ねる。その中で営業、融資事務、M&A業務を経験し、現在は事業再構築補助金やものづくり補助金の申請支援に携わる。中小企業診断士の他に、事業承継士も保有。将来的には、中小企業診断士という枠にとらわれず、地域貢献事業やスポーツ支援事業、自然貢献事業など様々なことに挑戦していきたい。

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