地元密着型の広告代理店にお勤めの喜多佐智浩さん。会社の市場拡大のミッションとして、自治体向けの広告企画および法人営業を推進し、仕事の範囲を全国に広げています。そんな全国を飛び回る状況の中で試験勉強を進め、見事2021年度に中小企業診断士試験に合格しました。試験勉強の取り組みでは、自身の納得感を常に大切にしています。第３回は、２次試験本番から合格後までのお話をおうかがいしました。
極限の緊張で迎えた２次試験当日
――いよいよ本番ですが、どのような状況で臨んだのでしょうか。
試験前日は緊張で、布団に入っても寝付けませんでした。さらに、当日の朝に家を出て、家の最寄り駅に着いた時、手元に携帯電話がないことに気づきました。落としたのだろうか、家に忘れたのだろうか、不安な気持ちで試験会場に向かった記憶があります。試験会場に着いたのですが、会場の机が狭く、作業スペースを広く取れなかったので、問題を解くのに苦労しました。
――極限の緊張ですし、想定と異なる状況に戸惑いますよね。試験時間中はいかがでしたか。
試験開始直後の事例Ⅰで衝撃を受けました。広告制作会社の事例でした。私が所属する業界からの出題です。受験生界隈では、自分と同じ業界の問題が出たら要注意だと言われていて、それが現実になり非常に焦りました。事例企業の実施内容と、業界に対する私の考え方とが食い違い、書かれていることを素直に読めない。でも思いこみを排除しよう、客観的に対処しようと必死でした。１年間頑張ってきて、なぜこのタイミングで出題されるのか。いろんな思いが頭をよぎり、動揺を抑えられないまま１時間目が終了しました。
――事例Ⅰが終了した後、どのような気持ちでしたか。
これはだめかもしれないな、と思いましたし、心が折れそうになりました。でも、今まで家族が応援してくれていたし、息子にも一緒に合格するといった手前、父としてこのまま諦めてはいけない、と思い直しました。その後は割り切りまして、最後の事例までやり終えました。
筆記試験合格発表日に気づかずに合格を知る
――試験が終わって合格発表までどのように過ごしたのですか。
落ちたと思っていたので、次年度に向けて勉強しなくてはいけないけど、お正月明けてから勉強しようと思い、一旦勉強からは解放されました。子供の習い事の送り迎えなど、勉強中は妻がカバーしていたことをできるようになりました。
――合格発表をどのように知ったのですか。
資格学校に自分の受験番号を連絡していて、メールで知りました。合格発表日が頭から抜けていました。最初にメールを見た時、間違いメールではないかと思いました。出張中で自分の受験番号がわからず、家にいる妻に確認してもらい、ホームページで確認してようやく合格を実感しました。ちなみに、後で得点開示請求したのですが、あれだけ苦しんだ事例Ⅰが実は点数が良かったんです。
合格後も学んだことを仕事に活かす
――口述試験も無事通過し、最終合格を果たしました。周囲の方に報告しましたか。
はい。上司の社長に報告しました。受験のことを話していなかったので、その時はびっくりしていました。親しくしていただいている顧客にもお話ししたときに、会社のことで相談に乗ってほしいとおっしゃっていただけました。
――中小企業診断士を勉強したことで、役立ったことはありますか。
自社の決算書を深く読み込めるようになりました。私自身も組織運営に関わっていますが、組織運営を我流や経験則で進める組織・会社もあると思います。私の会社もそうです。でも中小企業診断士の勉強を通じて、理論を体系立てて整理でき、自組織にその内容を取り込めたのが、改めて良かったと思います。
――今後の抱負をお聞かせください。
顧客に対して、これまでより深く支援や助言ができるようになりたいです。顧客は広告主であり、経営者や経営者に近い立場の方と会話することが多く、経営に関する会話に踏み込める機会もありますので、学んだことを活用したいと思います。
木内 義貴 取材の匠メンバー、中小企業診断士
三重県桑名市出身。愛知県在住。大学卒業後、自動車部品製造業に勤務。環境にやさしい車向けの車載組み込み機器の設計業務に従事。2021年度中小企業診断士試験合格。2022年５月登録。趣味はお笑い、鉄道旅、居酒屋巡り、カラオケ、AMラジオ。特技はドラム。好きな言葉は「一日生きることは、一日進歩することでありたい。」 日本経済活性化の一翼を担う、との思いを持ち日々研鑽中。
