
大手製薬会社の企業内診断士である田部井可奈子さんは2024年7月に中小企業診断士登録予定だが、既に2025年沖縄での起業準備を進めている。第3回では沖縄での開業から更なる今後の目標についてうかがった。
資格取得で夢を叶えるスタートラインに立つ
沖縄では2025年の開業に向けジャングリアテーマパーク近くの土地で既にヴィラの建築が始まっており開業への準備が着々と進んでいる。田部井さんがかつて目指していた会社の看板がなくても個人で価値ある人間になりたいという想い、そして夫の経営の伴走者として役に立ちたいという想いで受験した中小企業診断士の資格もあとは登録を待つばかりである。
しかし田部井さんの挑戦はここでは終わらない。「自分がやりたいなと思っているのは、 宿をちゃんと成功させたうえで、私達と同じように、東京とか別のところから沖縄に移住して何かをしたいなと思っている人たちの相談相手になることです」。そしてさらに、医療と中小企業診断士資格を活かした診断士活動も視野に入れているそうだ。
ヴィラ 創業支援 医療を活かした中小企業診断士 それらの根底にある想い
開業するヴィラは、部屋数を少なくして1日2組までみたいな感じのゆったりした空間にしたいとのこと。「お客様が沖縄のヴィラに求めていることは癒しとか非現実感だと思います。そのためにお金と時間を作って来ていただくので、人生が豊かになるような手助けとか思い出作りのお手伝いができればいいなと思っています」。相談相手になることについては、沖縄での起業にあたって沖縄側で相談先がなく非常に苦労した経験を活かした土地の探し方や銀行からの融資の受け方、また事業計画書の書き方などの支援だ。沖縄に移住して新規ビジネスをしてみたい人たちや内地からの観光客ビジネスをもっと拡大させたいといったニーズのある人たちの役に立てるような「架け橋」となる中小企業診断士を目指している。医療を活かした中小企業診断士活動は具体的なイメージはまだまだこれからだが、病院のコンサルタントとして人材の定着を図るなどの伴走支援をしたいそうだ。
田部井さんは次から次へと新たな挑戦を展開させるが、その原動力はいったい何なのだろう。一見バラバラに見えるが一貫した想いが根底に流れているのではないか。田部井さんにそのことを聞いてみた。「まだちょっと言語化できないモヤモヤした思いはあるのですが、やはりその人の役に立ちたい・貢献したい・喜ばせたいという気持ちが根底に流れているかなと感じています」
20年後エッセイで伝えたいこと
インタビューの最後に、かなり先のことを質問してみた。ちょっと考えた後で田部井さんはこう語った。「やっぱり『後悔しない人生を』というテーマで書きたいなと思います。私は色々なことに興味を持ち手を出すのですが、結局途中で挫折してしまうことが多くて。でもその中で中小企業診断士という資格だけは、死ぬ思いで頑張って取得したものなので自分の中でとても自信につながっています。中小企業診断士合格のお話や、大きな病気をしたことも含めて『人生楽しむこととは』や『明日死んでも後悔しないために毎日どう過ごして行くのがいいか』みたいな壮大なテーマでエッセイが書けると嬉しいです」。小さい頃からいろいろなことに興味を持っていた田部井さんは、これからも様々な挑戦をしてゆくと思う。逡巡する場面も出てくるだろうが、きっと、人の役に立ちたいという想いと、絶対に後悔したくないという決意が、田部井さんを然るべき方向へと導いてくれるであろう。

髙田 浩一郎 取材の匠メンバー、中小企業診断士
東京都在住。大学卒業後、総合物流企業に入社。国際旅行業務、国際航空業務、国際海運業務などに従事。営業部門、管理部門、またシンガポールで駐在員など幅広く経験。2023年5月中小企業診断士登録。物流を得意分野としたよろず支援ができる中小企業診断士になるために日々奮闘中。武道が好きで現在は合気道の稽古に励んでいる。趣味はギター演奏、特技は指圧。