【第3回 SWOT分析と4Pで自分のコンテンツと売り込み方を考える】
過去の記事:第1回、第2回

4度の2次試験不合格を経て、5度目の挑戦で晴れて合格をつかみ取った齋藤さん。第3回では合格後の実務補習から、信念とするもの、そして中小企業診断士として活動するために考えていることについてうかがった。
15日間の実務補習
長い受験期間を経て、2次試験に合格した齋藤さん。70歳という年齢を考えると少しでも早く中小企業診断士登録をしたかった。2次試験の合格がわかるや否や、口頭試験より前に15日間の実務補習に申し込んだ。
15日間のコースでは、同じメンバーでの実務補習が3回行われるため、5日間コースよりもチームメンバー同士のつながりが強くなる。「6人くらいですごく楽しいチームでした。今もたまに連絡を取っています。私は年齢も上なので班長をさせられましたが、伴走型支援だとか言ってみんながサポートしてくれました。」と齋藤さんは笑う。
実務補習先では赤字改善、事業承継など、それぞれに抱える課題があり、チームで意見を出し合って提案を行った。実際に実行するには難しいような内容を提案してしまったと反省点はあるものの、経営診断のノウハウを得ることができ充実の15日間を過ごした。
「人は死ぬまで成長する」という信念
齋藤さんと話していると、70歳とは思えないパワフルな意欲を感じる。この年代になるよりも早期に退職してゆっくりと暮らしたいと思うような人もいる中で、齋藤さんがここまで仕事に対する飽くなき意欲を持っているのはなぜなのだろうか。
「『人間は死ぬまで成長する』という信念というか、そういう人でありたいと思うのです。製造業の経験と学びを生かして、世の中の役に立ちたい。役に立つことの証がお金なのだと思うので、あくまでボランティアではなく仕事にしたい。」
「まあ、かっこよく言えばそうだけど、実際稼がないと日々のお小遣いも減っちゃいますからね。」と続け、齋藤さんはいたずらっぽく笑った。
「そのためにもっと勉強しなきゃいけないと思います。必要なのは自分のコンテンツ作りと売り込み、人脈作りですね。要は、自分自身の事例Ⅱをやるということです。」
コンテンツ作りというのは人から認められる専門性を作ることだという。
「自分から『強みはこうで、こういう専門性があって』なんて考えて書いているだけでは足りないと思っています。他の人が『この人の強みはこういうものです』と認めて書いてくれるくらいじゃないと世の中に通用しないし、自分がやりたい仕事はできませんからね。だから、今企業に勤めている人は、現役のうちに自分の専門性をどんどん形として作っていくことをおすすめします。自分にはそういうことが足りなかったと思っています。」
売り込みについてはどのように考えているのだろうか。
「マーケティングミックスの4Pに沿って考えると、プロダクトがまだ形になっていない。プロモーションには苦手意識がありますが、独立したらやっていかなければなりませんからね。」
苦手意識を克服したい
齋藤さんが「成長したい」と思う理由はもう1つある。それは「自分の中にある、人として未熟なところを解消したい」という思いだ。子供の頃から人間関係を築くのに苦手意識があった齋藤さん。社会人になってからも上手い言い方ができずに相手を怒らせてしまったことが、苦い記憶として頭に残っている。
「ピンチやギリギリの状況に追い込まれても、落ち着いて対応できるようにならないといけないと思います。でもそれは失敗から経験して学ぶんだろうな。ちょっとずつ直していこうと思います。」
これから研究会に参加したり、他の中小企業診断士と交流したりと、仕事に関する情報交換をしていく予定があるという。中小企業診断士というセカンドキャリアの道を切り開き、前向きに歩みを進めている。

前田 久美子 取材の匠メンバー、中小企業診断士
2021年中小企業診断士に登録。エンタメ系IT企業にて、経理、内部監査、アプリ事業のマーケティング職を経て、経営企画部門にてグループ会社管理、全社朝会の企画運営、基幹システム導入のプロジェクトマネジメント、管理会計などに従事する幅広い経験を持つ。仕組みづくりから運用、数値分析、コミュニケーションまでOKな全方位バランス型人間。ビールが好きで、いつかブルワリーのコンサルティングをしたいと思っている。