
H.Mさんは2024年9回目の挑戦で中小企業診断士試験に合格した。建設業関係の組合に38年間勤務し、2年後の定年退職後は独立開業を目指している。第3回では、現在の取り組みと将来の診断士像、そして受験生へのメッセージについてうかがった。
中小企業診断士としての視点が仕事を変える
試験合格後、本業である建設業の組合の仕事にも好影響が現れているという。「ものの見方が変わったような気がする。診断というのは分析だから何かと比較してどうかということを考えるようになった」と、少し嬉しそうな表情を浮かべる。
建設業の許認可関係では、中小企業診断士の証明が必要となるケースもあり「仕事の幅が少し広がった」と実務面でも直接的な効果が出ている。知識として学んだことが、実際の業務でも活かされる喜びを実感している。
明確な将来設計
「中小企業診断士の仕事は、支援する企業様の思いを形にしていく仕事だと思っている」。H.Mさんの診断士に対する思いは明確だ。
一方、現実も冷静に見ている。「試験に合格したといっても、知識はあるかもしないけど、それを実務として活用する方法は全然身についてない」と勉強と実務スキルの乖離を自己分析する。
「この2年間で、どういう分野が自分にとって1番活かされる分野かというのを見極めていきたい。そこがはっきりしない限り成功しないと思っている」。そのために理念、ビジョン、ミッションを今年度中に明確にすると宣言した。
時間軸についても明確なイメージを持っている。「中小企業診断士の活動は10年。やれても15年だと思っている。5年後には活動ピークに持っていきたい」。仕事への取り組み方についても、「仕事をたくさん取るというより、事業として楽しみたい」という。
H.Mさんのいう楽しみとは何か。「お客さんの事業がうまくいっている状態」だと答える。この言葉に、H.Mさんの人柄と中小企業診断士への思いが凝縮されている。
受験生へのメッセージ
「中小企業診断士の資格は専門分野がない。その分、いろんな経歴を持った方や、多様な業種の方が携わっている世界というのが魅力だ」と中小企業診断士の特徴を語る。新しい世界に飛び込むことを恐れないH.Mさんらしい言葉だ。
最後に、受験生へ送るメッセージを聞いた。「長い間受験生活をやってきましたので、諦めずに継続すればいつかは必ずゴールはくる」。
9年間の挑戦の結果を経て、合格を掴み取ったH.Mさんの言葉には、重みと説得力がある。その背景には、中小企業経営者を支援したいという純粋な思いと、最後まで責任を持ってやり切るという信念がある。
H.Mさんの歩みは、中小企業診断士を目指す全ての人にとって、諦めない心の大切さを教えてくれる事例と言えるだろう。

大西宏典 取材の匠メンバー、中小企業診断士
大阪府在住。2022年に中小企業診断士試験に合格。エネルギー会社での勤務を経て、2025年1月に独立開業。「企業価値を高めながら、持続可能な社会への貢献」を理念とする。省エネルギーの専門性を活かした脱炭素経営支援を通じて、経営者とともに未来価値の創造を目指している。
