【山田晃裕さんインタビュー】 自分の強みについて模索する中小企業診断士に送る あえて専門分野を作らないという戦略

【山田晃裕さんインタビュー】 自分の強みについて模索する中小企業診断士に送る あえて専門分野を作らないという戦略

【第2回 ユーティリティプレイヤーになろう】
過去の記事:第1回

【山田晃裕さんインタビュー】

AKI CONSULTING代表山田晃裕さん。若手のころ体調不良から仕事のペースを調整した結果,仕事の依頼が減ってしまいました。第2回はその後のお話と専門分野についてお聞きします。

専門分野が必要と言われるが

――前回ご自分には専門分野がないというお話がありました。

自分に専門分野があったならば,仕事の依頼はそれほど減らなかったと思います。中小企業診断士(以下,診断士)の専門分野と言うと,診断士になる前のキャリアと診断士になってから学ぶもの2種類ありますよね。私の場合,会社員時代は証券業界にいましたが,特筆するスキルの蓄積にはならなかったのです。だから診断士になることを目指したということもあります。

――専門分野は決めた方が良いと言われます。

○○専門家診断士として,各分野ですぐに頭に浮かぶ著名な方々もいます。専門分野があると,安定的な受注につながり,時間単価も上がります。企業内診断士の方も,まずは自分の今の業務を深堀するのが第一です。その後,例えば事業承継とか,セミナー講師などの道を選ばれて行くのが良いと思います。しかし…その道に行くと他の士業や資格がなくても超一流の方々がいて,競争はかなり激しいです。

専門がないなら,ポジショニングを考えよう!

――では,どのように診断士としてのスタンスを決められたのですか。

診断士になって数年経つと,みんなある程度自分の専門分野を決めていきます。例えば診断士がたくさんいるサッカーグランドがあると,みなフォワードやディフェンダーのポジションという専門分野へ移動して,真ん中のセンターサークルが無人になったのです。そこに残っているのは新人さんか,何もしていない人か私ぐらいで(笑)。そこは多くの仕事があるが,単価は安い。ひとりで行うには人的限界があるので,結果的に他の診断士と幅広く協業することが多くなりました。

――興味深いお話です。どういう点に注意されていますか。

診断士試験と同じで,平均60点以上取れれば合格だと思っています。90点以上のアウトプットは出せないけど,何処でもどの分野でも確実に合格点を取るというイメージです。

スポーツで言うところの「ユーティリティプレイヤー」のように,クライアントの皆様は困ったときに私に任せれば,最低限の結果は出してくれるという安心感があるのではと思います。またある特定の仕事がなくなっても,他の分野でカバーするという,リスクヘッジにもなります。


打越 大輔 取材の匠メンバー,中小企業診断士

大学卒業後,流通小売業3社で勤務。店舗運営から商品部,人事総務まで幅広く担当。日系企業での国外駐在や外資企業の日本市場における新規店舗開店,会社更生法による店舗閉鎖まで幅広く経験。2012年より海外通販業を創業し,現在も継続中。2019年から中小企業診断士登録し,小売業や創業の経験を活かし,企業支援を行う。

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