【第3回 行政と現場を繋ぎ、価値を引き出す】
過去の記事:第1回、第2回
2011年の中小企業診断士登録から9年目。支援した商店街は100を超え、「百戦錬磨の商店街診断士」として活躍する鵜頭誠さん。熱い想いと高いプロ意識により企業内診断士ながら、支援先から絶大な信頼を得ています。そんな鵜頭さんに中小企業診断士キャリアを積むために意識していることを伺います。
「新商品」と「新市場」の開拓を意識
――中小企業診断士としてのキャリアで意識していることは。
自身の「新商品(ノウハウ)」と「新市場」を広げることを意識しています。まず、浅草の商店街(新市場)に対して白金商店街での支援ノウハウ(既存商品)を展開しました。次に、荒川区からの依頼で実施したまちゼミの実行支援をパッケージ化し、北区など新市場の開拓に繋げました。このように、自身のノウハウを作りながら市場を伸ばすことで仕事が連鎖で広がっていきました。
――そのために、若手診断士はどんなことを意識すると良いですか。
まずはフィールドワークとインプットをバランスよく行うことです。現場に出るとインプットのモチベーションが湧き成長に繋がります。次に、自身の活動の外への発信と内省を行うことです。自身の心の中の想いは常にメモをし、振り返ることで次の活動に活かしています。最後は自分を売り、集客するための一般市場と限定市場を意識することです。一般市場とはミラサポや協会活動などオープンな活動です。そこで自身を広く知ってもらい、実際の仕事で成果を出して限定市場(クローズドな仕事)の紹介を得ることで、市場が広がります。活躍している診断士は、自ら課題を考え、行動し、成果を上げることを積み重ねていると思います。
支援者を育て、次の商店街支援のステップへ
――今後はどのように活動の幅を広げていきたいですか。
商店街の支援者である行政や商工会議所の育成、支援に力を入れたいです。国家資格である中小企業診断士だからこそ、中小企業の現場と、支援機関との双方の課題解決に貢献できると思います。現場の課題を伝えて行政に気づきを与えられるのは、多くの現場を支援した自分だからこそできることです。私は、中小事業者や支援機関と相対するのではなく、その課題に相対しています。関係者と同じ向きで歩みながら、商店街の商文化を残すという課題に対し今後も共に闘っていきたいです。
地引 智美 取材の匠メンバー、中小企業診断士
一橋大学卒業後、IT企業に入社。入社後は法人営業に従事し、大手企業向けにシステム導入提案、導入後フォローアップ、ビジネスデザイン支援を実施。現在は自社の事業戦略策定に携わる。2019年8月に中小企業診断士登録し、パラレルキャリアを歩み中。