【大池俊輔さんインタビュー】弁理士だけでは足りない! 二刀流を実現した興味の化学反応、そのマインドセットとは

【大池俊輔さんインタビュー】弁理士だけでは足りない! 二刀流を実現した興味の化学反応、そのマインドセットとは

【第1回 弁理士資格取得の先にあった、新たな学びへの欲求】

【大池俊輔さんインタビュー】

弁理士資格を持ち、活躍されながらも中小企業診断士の資格試験に挑んだ大池俊輔さん。柔らかい声と穏やかな語り口がとても印象的で、弁理士資格試験の経験をいかした効率的な受験対策は今すぐ参考にしたくなるものばかり。第1回は、幅広い見識から生まれた資格取得への動機、中小企業診断士を目指した背景についてうかがいます。

技術と法律、かつて悩んだ進路の両方を扱う

――現在のお仕事を教えてください。

現在は、総合化学メーカーの知的財産部というところで、特許や商標などの知的財産権の取得、活用を行っています。眼鏡のレンズ材料などを扱っていて、自分自身はプレイヤーでもありますが、チームメンバーを3人ほど持ってマネジメントもしています。

――弁理士の資格はお仕事の関係で取得されたのですか?

実は仕事を始める前から法律には興味があり、技術か法律かで進路を悩んだ時期もあったのです。結局理系に進んだので、入社後は30歳くらいまで半導体材料の研究開発をしていました。ただ、仕事を始めても、やはり法律に携わりたいという気持ちがありました。そんな中、技術と法律を両方扱うことができる弁理士という資格があることに気がつき、勉強を始めました。

弁理士資格取得に満足せず、新たな資格に挑戦した背景とは

――どれくらいの期間で弁理士資格を取得されたのでしょう。

資格取得には3年かかりました。中小企業診断士の試験と同じく、1次試験は短答式、2次試験が論文式、3次試験が口述という形です。1年目は、まず1次試験だけ合格しました。当時の弁理士資格試験は1次試験合格の持ち越しができないシステムで、そのため2年目も再度1次試験から受験しました。

弁理士資格の1次試験は、ベースの知識があると大体合格できるものです。これは中小企業診断士の試験でも同じだと思います。1次試験を何回受けても合格できるようにならないと、2次試験には合格できない。それで、2年目も1次試験は問題なく合格したのですが、2次試験でまた落ちまして…。知的財産部への異動が決まって、引継ぎなどで集中できない時期でもあったのですが、「あ、これはいかんわ」と気を引き締めなおして、結局3年目の2008年に合格しました。

――弁理士として活躍される中、中小企業診断士にも興味を持ったきっかけとは?

中小企業診断士という資格のことは知りませんでしたが、書店でなぜか診断士資格の本に目が行ったのです。そのとき、これは経済や経営、IT含めて、体系的に勉強できる資格で、「面白そうだな」と思ったことを覚えています。

ビジネスに精通した知財人材を目指して

――経済や経営にも興味があったということでしょうか。

本格的に学びたいと思ったのは、知的財産部でマネージャー職に就いてからです。知的財産部というのはコストがかかるところで、収益には直接結びつきません。事業部や経営者の方からは、「やっぱり知財の人間っていうのは金勘定ができない。ビジネスがわかってない。」と言われることがあって、悔しかったですね。自分の知的財産部における仕事が、ビジネスにどう結びついているかということを、きちんと説明できるようになりたかった。
そのような思いを抱きながらも、その後、アメリカに留学。帰国後は、知的財産部の中の新チームを任されました。事業部の人間と話をすることが多くなり、新事業が自分の仕事にどう関連性があり、なぜそれをやる必要があるのか、説明する機会がすごく増えた。人事などマネジメントの必要性も増し、ビジネスを体系的に理解したいと思うようになったのです。


中村 美音

中村 美音 取材の匠メンバー、中小企業診断士
神奈川県横浜市出身、都内など14回の引っ越しを経て現在横浜市在住。上智大学卒業後、総合出版社に勤務し月刊誌編集職に従事。その後、個人事業主として、主にコミック、Webの編集者、原案者として活動する。子育てに取り組む期間を経て、2022年に中小企業診断士登録。東京都中小企業診断士協会、城南支部所属。

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