【第１回】７年目の受験でつかみ取った試験合格
７年間の受験生活を経て診断士試験に合格され、今は一般社団法人埼玉県中小企業診断協会や中小企業政策研究会など複数の団体で精力的に活動している玉川信さん。経営者と中小企業診断士という２つの顔を持つ彼に、合格までの軌跡と今後の展望についてお話をうかがいました。
全３回シリーズの第１回は受験のきっかけや受験のモチベーション維持の方法についてお届けします。
会社経営に必要な知識を習得するために受験を決意
――これまでのキャリアについて聞かせてください。
大学卒業後印刷会社で営業職をしたあと、物流に特化したIT企業に転職し、通販会社や工場、農家を対象とした出荷作業のシステム化提案を行っていました。その後、ご縁があってコインパーキングの管理会社を経営することになり、今に至ります。
――経営者としてのキャリアがスタートしたあとに、中小企業診断士を目指したのでしょうか。
サラリーマンから急に経営者になったため、会社経営に関する知識が不十分であると痛感していたところ、知人の先輩経営者から、中小企業診断士の勉強は経営に必要な知識が網羅されていると聞き、学習を開始しました。１次試験の勉強は大変でしたが、経営と直結していたため結構楽しかったです。
――試験勉強はどのように取り組まれたのでしょうか。
予備校や通信講座を受講せず、書店で購入した参考書を使い、最後まで独学でやりぬきました。通学時間の確保や費用面を考慮した結果の選択だったのですが、最初は独学で２、３年かければ受かるだろうと軽く考えていました（笑）
初年度に資格の学校TACの「スピードテキスト」と「スピード問題集」をまとめて７科目分購入したのですが、積み上げられた参考書の高さに圧倒されたことを覚えています。
――軽く考えていたということですが、合格に要した期間はどれぐらいでしたか。
１次試験、２次試験をそれぞれ５回ずつ受験し、通算７年で合格しました。初年度は１次試験に一発合格しましたが、２次試験を２回連続で不合格になり、３年目は１次試験からやり直しました。それから３年掛かって２次試験に辿り着いたのですが、またもや不合格。再度リセットされた状態で、ようやく７年目に１次試験、２次試験をストレートで合格することができました。
正直、３回目の１次試験は精神的にキツイと感じました。同じことを３回も繰り返していると飽きますし、４回目の１次試験はもう勘弁してほしいと思うぐらい苦痛なものでした。
――２回目の１次試験合格まで３年かかったようですね。
そうなんです。実は２年目は１科目だけ不合格で、１次試験をクリアするために３年かかりました。１年間を無駄にしたことがとても悔しかったですね。１年間を棒に振ってしまうので、私の失敗を踏まえて、ぜひ多年度受験生には１次試験も手を抜かずに、モチベーションの維持と勉強時間の確保について上手くバランスを取ってほしいと思います。
惰性からの脱却
――７年間どのようにモチベーションを維持させていたのでしょうか。
７年間ずっとモチベーションを保っていたかというと、そうではありません。実際３年目から５年目あたりはモチベーションが落ちていました。いま思うと真剣に受験勉強をせずに惰性で受験しただけでした。点数もかなり悪かったですね。
このままでは永遠に受からないという危機感から、７年目に一念発起し、時間をかけて試験に真剣に向き合いました。また、モチベーションを維持させるために、家族や友人に「最後２年だけ頑張る！」と宣言して自分を追い込んだのも効果的でした。
―勉強時間は科目ごとにどのように配分していましたか。
初年度は当然１次試験勉強に時間をかけましたが、それ以降は２次試験により多くの時間を使い、最終年度は２：８の割合で２次試験を中心に勉強しました。２回目以降、１次試験対策では苦手の暗記系科目を中心に勉強しました。必ず平日の夜に２～３時間の勉強時間を確保し、土日は日中に勉強するなど、短期集中というよりずっと机に座り、なるべく勉強しない日は作らないようにしていました。
林 栖 取材の匠メンバー、中小企業診断士
中国海南省生まれ、10歳で日本に引っ越し、さいたま市で育った。茨城大学人文学部社会科卒業後、製薬会社で６年間営業を経験したあと、専門商社で３年間商品開発、海外企業開拓に従事。その後IT企業でWEBマーケ、広告営業、介護事業者向けの経営支援コンサルタントとして８年間活動後、2023年３月よりリン・コンサルティングを立ち上げ独立。趣味はハンドボールと家族旅行。2021年７月中小企業診断士登録、埼玉県中小企業診断協会所属。
