【石川慶成さんインタビュー】経営者に伴走する中小企業診断士になりたい。多年度受験でつかんだ合格の先にあるものとは。

【石川慶成さんインタビュー】経営者に伴走する中小企業診断士になりたい。多年度受験でつかんだ合格の先にあるものとは。

【第1回 リスキリングのために決意した中小企業診断士受験】

【石川慶成さんインタビュー】

製造業で技術営業から現場での操業まで幅広い業務をこなす傍ら、4年間の試行錯誤のうえ、中小企業診断士試験に見事独学で合格された石川慶成さん。全3回でお届けするインタビュー記事の第1回は、普段の仕事と診断士受験を決意したきっかけに迫ります。

まさに事例Ⅲ。町工場で奮闘中。

――金属加工業に携わっているとお聞きしました。具体的にどのようなものを作っているのでしょうか?

金属加工業といっても色々な業態があります。実は私の勤める会社は、モノを作ってはいなくて、「研磨」に特化した会社です。歯車のような部品を作ると端の方に小さなバリができてしまうので、これを研磨して問題なく機能するようにしてあげます。まさに、事例Ⅲに出てくるような、従業員も二十数人の小さな町工場に勤めています。

――人数が少ないと業務幅も広いのではないでしょうか?

生産現場での作業、生産管理、購買、技術営業、品質保証など幅広い仕事を兼務でこなしています。業務幅が広いと携わる利害関係者も多いので、皆ができるだけ妥協できるような着地点を見出すように心がけています。当然企業なので利益を追求するのは大事ですが、自分たちだけが利益をあげようとすると、お客様の企業から私の会社に利益が移るだけで継続性がないですよね。原料を供給してくれる業者に対してもそうです。供給してくれる業者がいるから自分の会社が回っていけるのです。購買者だからといって圧力をかけないように、バランスを心掛けています。

――自社だけではない広い視野で仕事に取り組まれているのですね。仕事のやりがいを教えてください。

製品づくりは、始めにお客様からの引き合いに始まって、試作、見積もりをして、量産段階に進めて、納入する、というプロセスで進みます。この一連のプロセスを一手に担って進めることができる、自己完結感はやりがいの一つです。でも、自分が病気になって休んでしまう可能性もありますよね。最近はできる限り他の人に「OJT」する時間を作るように心がけています。

経営者の考えを理解したくて学び直しを決意

――OJT」というキーワードが出ました。中小企業診断士試験での学びが活かされていそうですね。そもそも、中小企業診断士を志したきっかけは何だったのでしょうか?

私は生産現場で作業をする職人として入社しましたが、仕事を進めていく中で能力を買われて管理業務を任されるようになっていきました。でも、その時に自身に管理業務に関して何の蓄積もないことに気づいてしまったのです。マネジメントをどのようにすればよいかわからないし、経営者が考えていることを理解できないと現場に何も伝えることができないと思いませんか。そこで、経営について学ぶことを決意しました。今でいう「リスキリング」です。調べる中で中小企業診断士は経営に関する一般的な知識を広く学べるということがわかり、受験を決意しました。

――受験を決意して勉強を進めていく中で障壁はありましたか?

家族への説明と勉強時間の確保ですね。これは皆さん共通の悩みではないでしょうか。仕事をやりつつ、さらに勉強時間を確保するためには、家族にも協力してもらわないといけません。家族には挑戦したいということを丁寧に説明して理解してもらえました。
働いているとなかなか夜にまとまった勉強時間が取れませんよね。そこで、朝の時間と週末に集中して勉強をしていました。朝は早起きして仕事前に1時間、休日は午前3時間、午後3時間のように時間を区切って勉強していましたね。




赤宗 行三

赤宗 行三 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1991年生まれ、福岡県出身。大学卒業後入社した飲料メーカーで生産管理や商品開発を担当。経営に関する知識を幅広く学ぶために中小企業診断士受験を決意、2021年度合格。千葉県中小企業診断士協会所属。趣味は野球とサウナめぐり。

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