【第2回 想定外の2次試験受験】
過去の記事:第1回
現在地方銀行にお勤めの佐藤さん。第2回は、どのように受験予定外の2次試験学習をしてきたのか、お話をうかがいました
中小企業大学校へ行けない
――中小企業大学校へ行けなくなり、2次試験を受けることとなったのですね。
上司に相談したところ、翌年の中小企業大学校への公募も人数が多く確約できないと言われました。翌年も通学できない可能性がある中、2次試験に落ちてしまった場合、資格取得という観点では成果としてゼロになるため、2次試験の受験を決めました。
――勉強時間を確保できましたか
とれませんでした。11月7日試験で、10月くらいから開始しましたので1か月程度しか時間がありませんでした。中小企業大学校の公募を目指していましたので、2次試験の受験準備をしておらず、情報収集もできていない状態でしたね。
時間制約の中での受験
――時間がない中、どのように勉強しましたか。
前年の2020年はコロナ禍の影響で2次試験をスキップすることができました。私が受験する2021年度は競争相手となる勉強時間をかけた受験者が相当数おり、競争レベルが高いと想定しました。そのような環境で、付け焼き刃での対応では合格は無理だと思い、本音としては来年のために受験しました。これくらいの勉強でこう書いたら、どのくらいとれるのかと試そうという気持ちでした。
――具体的な戦略はありましたか。
情報収集する中で、正解のない筆記試験と感じました。そこで、どのように点をとるかに注力しました。受験のテキストは、3冊だけ買いました。直近の「ふぞろいな合格答案(同友館)」と、5年分が収録されている過去問、全知識です。「ふぞろいの合格答案」では、必要なワードをいかにピックアップするかを学びました。2次試験用の知識は、全知識で別途インプットしました。過去問では模範回答を参考にしましたが、この文書を1か月で書くのは無理と判断しました。私は文書を書くことが得意ではないので、「ふぞろいの合格答案」の手法である、いかにキーワードを抜き出し得点を稼ぐということに集中しました。
独学でつかんだ想定外の2次試験
――2次試験を合格されたわけですが、その時の心境はいかがでしたでしょうか。
喜びというよりも驚きですね。勝因があるとしたら、時間がない中でシンプルに解答を書いたことです。取捨選択することに注力し、必須項目には時間をとると決めたことが良かったのだと思います。解答に関して、素直に与件から抜き出すことが結果として良かったのではないかと思います。満点を取る試験ではなく6割とる試験なので、難問は捨てる。簡単なものを落とさなかったことが良かったのだと思います。
想定外のストレート合格
――短い時間の合格でしたが、試験勉強が得意なのですか。
そんなことはありません。ただ、人よりはやっていると思います。むしろ、効率の悪い勉強しているのだと思っています。合格だけが目的でなく、いかに知識をものにするか、合格後に活用できるかを考え、テキストは徹底的に読みました。したがって、1次試験は600~700時間かけましたが、インプットの割合が半分くらいでした。一方、2次試験は60時間の勉強量でしたが。
――今回の2次試験の勉強方法はイレギュラーなのですか。
イレギュラーです。普段の資格取得では、勉強しすぎで合格するのがパターンでした。例えば、6割で合格の試験ですと、7割程とって合格するくらい勉強します。ところが、今回の2次試験は、勉強時間60時間で240点とギリギリでした。一方、良い影響としてコロナが試験問題に反映されたことがあります。当時営業店で、コロナの影響を受けたお客様の対応・支援をしていたので問題に動揺がありませんでした。実際の銀行実務の中でも、学んだことをアウトプットする訓練をしていました。それが試験に生きたのだと思います。
加藤 昌毅 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1974年生まれ。岡山県在住。大学卒業後、IT業界で法人営業を経験し、主に新規顧客開拓を担当する。2015年に中小企業診断士に登録後、家業の鉱物粉砕業の経営に参画する。現在は独立し、創業支援、事業承継支援、M&A支援や専門学校講師、研修講師などの講師業を行う中小企業診断士としても活動中。