【木下綾子さんインタビュー】 活躍する中小企業診断士の「開拓力」

【木下綾子さんインタビュー】 活躍する中小企業診断士の「開拓力」

【第3回 公的支援と民間受注】
過去の記事:第1回第2回

【木下綾子さんインタビュー】

まだ中小企業診断士の参入が少ないM&Aの分野を開拓し,案件を通じて自己研鑽に励んでいる木下さんに,今後の中小企業診断士の活躍の場について伺いました。

コンサルティングの価値の提供が評価されるように

――木下さんが考える「中小企業診断士とはこうあるべき」という姿はありますか。

中小企業診断士には決められた業務がない分,開拓の余地もたくさんあると思っています。やり方次第で無限の可能性があります。新規開拓で重要なのは,コンサルティングに対して,きちんとお金を払ってくれるお客さんや案件を開拓することです。やはり,公的支援の仕事だけでは,中小企業診断士の活躍の場は広がっていかないと思います。

――中小企業側の意識改革も必要そうですね。

必要だと思います。例えば,公的支援を通じて専門家を呼べば,無料でコンサルティングが受けられます。一方で,直接発注した場合は有料になるわけです。無料で専門家を呼ぶことに慣れてしまった 中小企業の意識を変えるのはとても大変だと思います。

――どうすればその意識を変えていけると思いますか。

質の高いコンサルティングの提供をすることと,その価値をきちんと事業者さんが評価してくれることが大事です。405事業( 経営改善計画策定支援事業)でいえば,計画策定後3年はモニタリング が必要なので,そのモニタリングが終わるタイミングで,直接受注につなげる営業もできると思います。公的支援や事業で関わっている期間にコンサルティングの価値提供をしっかり行うことで,事業者さんの意識を変えていくことができると思います。

――スタートアップの独立診断士にアドバイスを頂けますか。

コンサルティングの醍醐味は,困っている事業者さんを支援出来ることです。例えば,M&Aであれば,後継者がいなくて困っている人を助けることが出来ます。上手くいけば感謝もされます。そういった意味では,責任も重いですが,とてもやりがいのある仕事だと感じています。責任が重い仕事だからこそ,勉強し続けていかなければなりません。コンサルティングの質を上げていくことは,顧客満足につながり, ひいては中小企業診断士全体の価値を高めていくことにもつながります。案件を待つだけではなく,勉強させてください,と飛び込むことも大事です。

仲原 真澄

仲原 真澄 取材の匠メンバー,中小企業診断士

大学卒業後,伊豆市商工会に勤務。記帳指導や労働保険に関する業務を担当。市のDMOに出向中,観光産業振興に携わる。2018年に中小企業診断士登録し,独立。現在,観光産業振興を専門に宿泊業,観光サービス業の支援を行っている。

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