【第1回 中小企業経営の手助けをしたい】
中小企業診断士を取得後,2018年に独立・起業した仲光和之さん。株式会社ソウルスウェットカンパニーの代表として,会社の「ビジョン」とそれを実現するための「経営数字」を経営者と一緒に考えていくコンサルティングを行っています。第1回では中小企業診断士を目指したきっかけや中小企業診断士として大切にしていることについて伺いました。
――中小企業診断士を目指したきっかけは何でしょうか。
はじめに中小企業診断士の資格を取ろうと思ったのは高校3年生の頃です。父親と将来の話をしていたときに「経営」というキーワードに関心を覚え,雑誌の士業の特集を見て漠然と「中小企業診断士」にあこがれを持ちました。大学進学後,資格取得を目指して受験予備校に通いましたが,そのときは受験の目的が明確ではなかったため,勉強に本腰を入れることができず不合格となりました。その後社会人となり,ちょうど38歳の頃,東日本大震災の被災地で子供への学習支援をしていた友人の誘いを受け,宮城県を訪れました。被災地の現状を見る中で「何か地域経済の手助けになれることはないんだろうか」って自分なりに考えたときに,ふと中小企業診断士の存在を思い出したんです。そこから,一生懸命に勉強して40歳のときに取得することができました。
――勉強を始めた当初から,資格取得後は独立を考えていたのですか。
当初は独立を全く考えていませんでした。独立を意識し始めたきっかけは「ふぞろいな合格答案」の執筆プロジェクトを通じて出会った先輩の中小企業診断士の仕事をお手伝いしたことです。仕事を頂いたのは良いのですが,その仕事が短納期でボリュームも多く大変だったんですよ。忙しすぎてこのままだとまずいなと思ったときに,「独立」という単語が頭をよぎりました。妻にも相談しずいぶん悩みましたが,多くの中小企業診断士の先輩の励ましや後押しを受けて,独立を決意しました。
また会社員としては,自分が中心となって取り組んでいたプロジェクトがひと段落した状態でした。この先会社の中で,どういう仕事に取り組んでいこうか悩んでいる時期でもあったので,会社を辞めて独立するにはちょうど良いタイミングでした。
会社で働く中で感じた経営理念の大切さ
――中小企業診断士として会社の理念やビジョンを大切にされているそうですね。
会社員として働いている中で,会社の将来像や向かっていきたい方向性が大切だと気づきました。そこがぼんやりしていると社員は会社についてこないんですよね。そういう会社では30歳くらいになって一通り仕事を覚えた社員が,仕事にやりがいを感じられず辞めていきます。そういうマイナス面を知っているので,経営理念やビジョンの作成,言語化などのお手伝いをしたいと感じるようになりました。
野江 泰介 取材の匠メンバー
北海道帯広市出身。大学卒業後,中小建設会社に入社。営業から設計,施工,検査までの業務を経験し,現在は主に施設管理支援の業務が中心。よりよい施設を作っていくためには技術だけでなく会社の経営理念に沿うことが大切と考えている。趣味はランニングと登山。一級建築士