【第2回 自分の得意なことを活かして共創する】
過去の記事:第1回
前回に引き続き、土屋俊博さんにお話しを伺います。様々な地域支援をしている土屋さんが事業者や地域を支援しているときに気を付けていることなどを伺いました。
発信力があって、やりたいことがある人と組む
――事業者や地域の方と話す時に気をつけていることはありますか。
思い込みを安易に言わないことです。得てして当たらないので、相手の話をひたすら聞きます。求められない限り、自分の知識をひけらかすこともしません。相手がどうなりたいかというビジョンを探って、バリュー、すなわちその人の価値観を読み取る、極端に言えば、他に聞くことはありません。ビジョンに沿わないことを言っても、理解してもらえないですから。
相手が話すのは9割5分ぐらいのイメージでいます。
――でも、あまり自分から喋ってくれない方もいらっしゃいますよね。
地域で何かを動かしていくなら、発信力がある人と動かないといけません。中小企業全部を救うことはできないので、その地域でリーダー的な人、アイデアもあって自分でやる気持ちがあって伸びる人を狙ってアプローチしています。どんどん発信してくれると足りないことが見えてくるので、どうしたらサポートできるかを探って、自分の持つアセットや人脈を使って、できることを一緒にやっていきます。
自分のできるサポートを見つける
――不足しているスキルだったり、人を紹介する時に気をつけていることはありますか
相性に気を付けていますね。診断士や専門家の普段の様子などを見て、支援する側の意思も含めて支援される側と合致するかを気を付けています。 実際、マッチングするのはなかなか難しいです。そのために、自分自身の人の繋がりを増やして、今、SNSでは約2600人の繋がりがあります。
システムエンジニアをやっていたわけでも、営業をやっていたわけでもなく、自分に特殊スキルはあまりないと認識しているので、人を繋げることやアイデアを創発させるためのファシリテーションやワークショップを仕切ることなどに注力しています。自分の得意なことを認識して生かすようにしています。
――そういうスキルはどうやって身につけたのですか。
勤めている会社でも、昔はコンピューターを売ればよかったものが、今のIoTやAIの時代はお客さん自身も何を求めているか分からないから、お客さんの課題を一緒になって考えて、じゃあIoTやAIをこういう使い方をしたら課題解決できますよというような提案スキルが求められるようになっています。それが、お客様との共創なんです。
それで、社内でもワークショップやアイデア検討の手法が重要になってきた中で、共創手法の普及活動をやったり、診断士になってファシリテーションなどを積極的にやる中で、実はこういう活動が得意だということに気づきました。
実は、学生時代に吹奏楽部で打楽器をやっていました。その中で、演奏がうまくいくためには各楽器の演奏者の調子やメンタルなどを良くするための組織力が大切だと思ってました。
共創はまさに組織がうまくいくために必要だと思っています。支援する側、される側という関わりより、共創することでいい結果に結びつきます。
那須 美紗子取材の匠メンバー,中小企業診断士
大学卒業後,証券会社で企画業務に約10年,出向にて信託銀行の業務システムのシステムエンジニアに約2年従事。その中で,システムや業務の新規構築・改善を幅広く経験。2019年に中小企業診断士登録。自身も3人の子供を育てながら働く経験を活かし,働く親の支援活動も行う。趣味は旅行と茶道。