【第1回 広告マン公務員が誕生するまで】

民間企業に勤務した後に独立。中小企業診断士(以下,診断士)資格取得後は,市役所で「シティプロモーション」の専門家としてのお仕事も開始した仲田俊一さん。第1回はこれまでのキャリアや現在のお仕事に携わることになったきっかけを中心にお話をうかがいました。
※写真は製作した市のPR誌を持った笑顔の仲田さん。
マーケティングの知識と経験を武器に
――独立診断士として活躍する一方で公務員のお仕事もされていますが,これまでの経歴を教えていただけますか。
大学院修了後,千葉のIT企業で1年ほど勤務した後に一度独立。その後,ベンチャーの広告会社でディレクター兼営業として5年ほど勤務した後,培ってきたマーケティングのノウハウを武器に2014年再び独立しました。診断士資格を取得したのもこの頃です。2017年からは市役所の正職員として「シティプロモーション」に携わっています。現在は「公務員」でありながら「独立診断士」でもあります。
――聞き慣れない言葉ですがシティプロモーションとはどのようなお仕事なのでしょうか。
シティプロモーションは最近できた言葉で,まち自体をプロモーションするという意味です。観光促進や移住促進,地域のブランド化など各自治体によって目的は様々ですが,私が携わっているのは,移住促進を目的としています。人口減少の日本において,地方自治体は都市部から人を移住させ税収を確保していくことは課題でもあり,そのためのマーケティング戦略を考え,実行しています。
私自身,広告業界での経験を通じマーケティングに精通していたこともあり,お仕事の機会をいただきました。
明確になった診断士としての方向性
――シティプロモーションに携わることになったきっかけを教えてください。
診断士2年目の時,診断士としてのドメインをどうすべきか悩んでいました。マーケティングと一口に言ってもその対象範囲は広いし,またマーケティング領域の優秀な診断士の先生はたくさんいますからね。
そんな時,ある研究会でシティプロモーションの話を聴く機会があり,未経験ながら非常に興味を持ったんです。「シティプロモーションをやりたい!」という思いが強く芽生えた時,診断士として目指すべき方向性が明確になりました。
その後すぐにシティプロモーションの専門家を募集している自治体の選考を受け,現在の市役所にご縁をいただきました。
――診断士として進むべき方向性や自身の強みが何なのか,迷われている方もたくさんいるように思います。
マーケティング的には,「これだ!」と決めたことをとことん追求していく方が効果は高いと思います。しかし自分の強みは自分では分かりづらいですし,どの方向へ向かうべきか悩みますよね。私は40歳にして運よく自分の軸を持つことができましたが,それにより独立診断士としてとても安定したと思います。
ただ,ずっと広告業界に身を置いていた自分がまさか公務員になるとは…。人生面白いですね(笑)

波多野 晶博 取材の匠メンバー,中小企業診断士
大学卒業後,東証一部上場の総合アパレルメーカーにて人事・経理業務を経験。その後,中小医療機器メーカーに入社し人事・総務業務に従事。特に人事業務では,採用,教育,人事制度,労務,福利厚生など,社員の入社から退職まで一気通貫で幅広く経験してきた強みを持つ。社会保険労務士。