【田部貴大さんインタビュー】30歳目前で中小企業診断士に独学一発合格、その秘訣と中小企業成長への思いに迫る

【田部貴大さんインタビュー】30歳目前で中小企業診断士に独学一発合格、その秘訣と中小企業成長への思いに迫る

【第2回 一発合格のカギは徹底したインプット】
過去の記事:第1回

【田部貴大さんインタビュー】

新卒入社した銀行から大手電子部品メーカーに転職し、調達を担当されている田部さん。2021年に30歳目前で、独学で中小企業診断士試験にストレート合格。田部さんは、中小企業診断士の試験勉強はとにかくインプットが重要と言います。2回目はそのインプットでの秘訣をうかがいます。

独学でのインプットのカギは、ペースメイキングと自習室

――独学で合格されたのですね。受験校は検討されなかったのですか?

できれば受験校に通いたかったのです。ただお金がかかりますし、電車通学の1時間ももったいないと思いました。勉強会も自分の勉強時間が取れなくなりそうで、参加しませんでした。

活用したのは、YouTubeで講義動画を見られるTBC受験研究会(以下、TBC)の「速修テキスト(早稲田出版)」シリーズです。これはよかったです。テキストは中古とメルカリで揃えました(笑)。最新版を買ったのは経営法務と中小企業政策だけで、かなり安上がりでした。

――それは安い(笑)。1次試験はインプットが膨大です。何か工夫されたことはありますか?

TBCの動画講義どおりです。動画が終わる都度、確認問題と巻末の過去問をすぐ解く、その繰り返しです。動画は勝手に進むので、勉強のペースメーカーにもなります。集中できていなくても、とりあえず終わらせて次に進められるのです。

集中という点では、私は一人暮らしですがあえて自習室を借りました。土日だけのコースで月6,600円。「そのぐらいなら」と思って借りましたが、集中できる効果は絶大でした。

2次試験対策もやはりインプット重視

――2次試験の対策はいつから始めたのでしょうか?

2次試験対策を始めたのは1次試験後です。勉強期間は2か月半ですね。教材はインプットが「2次試験合格者の頭の中にあった全知識(同友館)」(以下、「全知識」)です。事例Ⅰ~Ⅲは、「全知識」を使い徹底的にインプット。アウトプットは過去問6年分を2周しました。

最初の1か月は事例Ⅰ~Ⅲのインプットと、事例Ⅳの問題を解いていました。時間の半分は事例Ⅳの演習に費やしています。残りの1か月半は、週末に事例Ⅰ~Ⅲの過去問を回して、平日はずっと事例Ⅰ~Ⅲのインプットと余った時間で事例Ⅳのアウトプットでした。

――2次試験対策でもインプットを徹底していますね。

はい。かなりインプット重視派です。事例Ⅰ~Ⅲでは時間の半分くらいはインプットに使っています。他の人と比べたらアウトプットの割合が少ないのではないでしょうか?
TBCの「速修2次テキスト(早稲田出版)」の中に、抽象化ブロックシートという知識をまとめた章があります。あの部分だけ破って持ち歩いて、インプットに使っていました。

一発合格も事例Ⅳは過信が裏目で大反省

――2次試験本番の手ごたえはどうでしたか?

事例Ⅰ~Ⅲはまあまあできた気がしていました。ただ、事例Ⅳで第3問(2)の損益分岐点のところが全く白紙だったのです。「これは点数がちょっとやばいな」と。事例Ⅰ~Ⅲも予備校の再現答案を見ると、全く違うことを書かれていましたし…。合格発表日まで落ちたと思っていました。だから、274点とわりと余裕をもって合格できたのが意外でした。

――一発でその得点で2次試験合格されたのですから、すばらしいですよ。

それでも事例Ⅳは大反省です。本番形式は令和2年(2020年)を1回解いただけなのです。銀行で働いていたし、簿記2級持っているし、事例Ⅳは得意と思い込んでいたのが、全く裏目に出ました。

実際、銀行の経営分析と2次試験のそれとは、見るポイントが違うのですよね。アドバンテージにはなりませんでした。もっと本番形式で解いて、自分がどこでどれだけ点数を取れるか把握して、本番に挑むべきでした。

――いえいえ、とても筋のよい勉強をされていると思います。ありがとうございます。

大井 秀人

大井 秀人 取材の匠メンバー、中小企業診断士

1971年生まれ。愛媛県出身。化粧品メーカー勤務。東京都中小企業診断士協会中央支部所属。東京と神戸で活動するパラレルキャリア・パラレルロケーション診断士。化学、エンジニアリング、IT、電機、映像機器と多くの業界で、製品開発のデジタル化や業務改革に関わる。得意分野は事業計画、業務分析、ITコンセプトデザイン。現在、勤務先にてIT/DXを担当する傍ら、診断士として執筆・補助金申請支援等に従事。

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