【大池俊輔さんインタビュー】弁理士だけでは足りない! 二刀流を実現した興味の化学反応、そのマインドセットとは

【大池俊輔さんインタビュー】弁理士だけでは足りない! 二刀流を実現した興味の化学反応、そのマインドセットとは

【第2回 敵を知り、己を知る。工夫をちりばめた勉強法で最短合格を手に】
過去の記事:第1回

【大池俊輔さんインタビュー】

知的財産部に所属する弁理士でありながら、中小企業診断士の資格取得を目指すことになった大池さん。第2回は、危なげなく合格を手中に収めた、その受験対策についてうかがいます。

得意分野より、暗記ものを科目合格して翌年の負担を減らす

――ビジネスを体系的に理解したい。そこで中小企業診断士の勉強をしようと思ったのですね?

そうです。「いい資格があった、中小企業診断士だ!」 と。ちょうどゴールデンウィーク明けくらいにそう思いつき、早速試験日を調べました。1次試験は夏ですから、5月からではとても間に合わない。そこで、まず1科目受けてみようと選んだのが経営情報システムでした。

――最初の1科目に、ご専門の経営法務ではなく経営情報システムですか?

経営法務は得点源になるから、翌年に持ち越そうと思っていました。そう計算して、ほかに短期集中で特定の科目をとるなら、暗記もののITがいいかなと。そこで1か月くらい経営情報システムだけを勉強して、1次試験を受けに行きました。結果合格して、少し調子に乗って本格的に勉強を始めたわけです。

インプットとアウトプットを素早く回して知識を定着させる

――1次試験の勉強は、どのようにされましたか?

当時は仕事と育児で通学は難しかったので、「スピードテキスト」(TAC株式会社〈中小企業診断士講座〉 編著)を買ってきました。非常によくまとまっていて、特に科目の全体像がわかる体系図がついていたのが自分には合っていました。それを通勤時間中に読むのですが、満員電車で40分くらい、つり革につかまり片手で本を持って読むというのが、途中できつくなりまして…。重くて手が疲れるので、本当は一冊丸ごとの方がいいのでしょうが、裁断して分け、軽くしました(笑)。

――小分けにしたテキストを順番に読んでいた?

いいえ。弁理士資格試験でも学んだことなのですが、僕は記憶力がいい方ではありません。インプットとアウトプットを早く回さないと忘れてしまうので、そのトピックスに興味があって記憶がフレッシュなうちに過去問を解いてしまう。間違えたらそこが理解できていないということなので、すぐにフィードバック。そのやり方で、ぐるぐると何度も回していました。

最後はやはり、あきらめない心が勝利を引き寄せる

――非常に効率的に勉強を進められて、スランプやピンチは訪れなかったのでしょうか。

ピンチは2次試験で訪れました。弁理士を受けるときは、全科目通して解く練習をしていたのですが、中小企業診断士の場合は、最後まで全科目通してやったことがありませんでした。それで何が起こったかといいますと、最後の科目、事例Ⅳで疲れてしまって、エンストを起こしました(笑)。最初の方の面倒な問題に時間を割きすぎて、残り10分で最後の方がほとんど解けていなかった。「これはあかんわ」と思いました。

――大ピンチですね! どうなったのか気になります。

思い出したことがありまして…。合格した年の弁理士試験でのこと。特許法でイレギュラーな問題が出題されました。特許法メインの試験なのに、最初の大問が意匠法と実用新案法中心の問題になっていて、一瞬誤植じゃないかと思いました。思考停止して、答案作成戦略が崩壊したのは僕だけではないはずで、試験会場全体がシーンとなっていました(笑)。だけど、火事場の馬鹿力で書き切った人間が、最後に勝った。 そのときの記憶が10年後、事例Ⅳでよみがえりました。ハマっているのは、みんな同じかもしれない。いつまでも書かないでいたら、その時点で敗北です。「なんか書こう!」と、とにかく何かを書きました。2次試験では、事例ⅠからⅢは楽しんでできたと思いますが、そんなわけで帰宅時にはものすごく疲れていました。


中村 美音

中村 美音 取材の匠メンバー、中小企業診断士
神奈川県横浜市出身、都内など14回の引っ越しを経て現在横浜市在住。上智大学卒業後、総合出版社に勤務し月刊誌編集職に従事。その後、個人事業主として、主にコミック、Webの編集者、原案者として活動する。子育てに取り組む期間を経て、2022年に中小企業診断士登録。東京都中小企業診断士協会、城南支部所属。

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