【玉川信さんインタビュー】7年間の挑戦、悔しさをバネにつかんだ試験合格

【玉川信さんインタビュー】7年間の挑戦、悔しさをバネにつかんだ試験合格

【第2回 苦手の事例Ⅳを克服し、高得点で合格】
過去の記事:第1回

【玉川信さんインタビュー】

7年間の受験生活を経て診断士試験に合格され、今は一般社団法人埼玉県中小企業診断協会や中小企業政策研究会など複数の団体で精力的に活動している玉川信さん。経営者と中小企業診断士という2つの顔を持つ彼に、合格までの軌跡と今後の展望についてお話をうかがいました。
全3回シリーズの第2回は合格年度に取り組んだ勉強法やそこに辿り着いたきっかけについてお届けします。

「ふぞろいな合格答案(同友館)」を最大限活用し、2次試験を突破

――2次試験で使われたテキスト、参考書について聞かせてください。

過去問以外では「ふぞろいな合格答案(同友館)(以下ふぞろい)」と事例Ⅳ対策に「30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集(同友館)」を使いました。2次試験は正解を公表していないため、受験予備校ごとに模範解答が異なります。ふぞろいは「合格者の答案に書かれていた内容」という視点でまとめられていたので、参考にしやすかったです。

――合格した年度とそれ以外の年度で勉強法に違いはあったのでしょうか。

まず、採点の仕方を変えました。ふぞろいの合格答案に自分と同様の記述があるかを見るだけの採点から自分の解答と異なるケースに注目し、なぜその答えが出てきたのか、どこからその要素を持ってきたのかを真剣に考えるようになりました。結果的にものすごく視界が開けました。

――多様な視点を持てるようになったのは素晴らしいことですね。どんなきっかけからそこに辿り着いたのでしょうか。

過去問を繰り返し解く過程で解答を覚えてしまい、新しい問題がない中、採点に時間をかけようと思いつきました。そのきっかけは、「合格者の答案がたくさん載っているふぞろいを隅々まで活用できてない」という歯がゆさと、「このままじゃいけない」という切迫感からでした。

――過去問をどれぐらい回しましたか。

たくさん問題に取り組もうと、13年分の過去問を少なくとも5~6周回しました。さらに事例Ⅰ~Ⅲを分野別に分けたり、ジャンル別に並べることで問われ方の傾向を分析しました。例えば、組織改編の問題では「改編した理由を述べよ」と「改編しなかった理由を述べよ」の2種類があります。この微妙な違いを分析することで、急に新しい問われ方が出てきた時にも戸惑わずに済みました。
設問を見ながらこのパターンに近いな、聞かれるポイントはここかな、と大体見当がつくようになり、初見の問題にも冷静に対応できるようになります。多年度受験生の方は一度やってみてもよいかもしれませんね。

合否の分かれ目だった事例Ⅳ

――事例Ⅳが苦手科目だったということですが、どのように克服されたのでしょうか。

過去2次試験を4回受けましたが、一度も60点を超えたことがない苦手科目でした。合格前の年には36点しか取れず、自分に憤りを感じました。合格するためには事例Ⅳの攻略が必須でしたし、やった分だけ得点が伸びると信じて、8割の時間をかけて勉強することにしました。過去問をひたすら何周も回すことはもちろん、早く解くことにも拘りました。

また、必ず出題される経営分析ではあえて自分好みの指標を封印して、それ以外の指標で解答したり、常に3~4つの経営指標を解答し、応用力を高める訓練をしました。結果的に77点という高得点につながり、努力が報われたと感じています。

――試験前に注意すべきことはありますか。

試験1週間前の土日では、本番に近い形で2次試験の時間にあわせて事例問題を解いたり、寝起きの時間や食事を試験本番の時間割にあわせたりして、生活リズムを整えました。これらの取り組みを全力で行った結果、例年試験を終えると、もっと勉強すればよかったという気持ちが湧くのですが、合格年度は「やりきった」と自然に思えました。

――合格発表で結果を聞いた時の心境はいかがでしたか。

私は過去に4回不合格を経験しているのですが、インターネットに表示された合格番号と受験票を何度も見比べ、間違ないと認識できた時は本当に嬉しかったです。冷静に口述セミナーの対策講座を申込んだあと、家族と友人に合格の報告をしました。長年資格試験にチャレンジしていることを知っている方々からおめでとう、と言われた時に改めて合格の喜びを感じました。






林 栖

林 栖 取材の匠メンバー、中小企業診断士
中国海南省生まれ、10歳で日本に引っ越し、さいたま市で育った。茨城大学人文学部社会科卒業後、製薬会社で6年間営業を経験したあと、専門商社で3年間商品開発、海外企業開拓に従事。その後IT企業でWEBマーケ、広告営業、介護事業者向けの経営支援コンサルタントとして8年間活動後、2023年3月よりリン・コンサルティングを立ち上げ独立。趣味はハンドボールと家族旅行。2021年7月中小企業診断士登録、埼玉県中小企業診断協会所属。

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