【加藤昌毅さんインタビュー】2次試験の壁、越えて進む独立診断士の道

【加藤昌毅さんインタビュー】2次試験の壁、越えて進む独立診断士の道

【第2回 変化の先でつかんだ合格】
過去の記事:第1回

【加藤昌毅さんインタビュー】

数年間受験勉強から離れた空白期間がありながら、諦めず見事合格を果たした加藤昌毅さん。第2回は、合格までの軌跡についておうかがいしました。

立ちはだかる2次試験の壁

――診断士試験を目指したきっかけを教えてください。

私は1998年が新卒入社の年でした。その頃、潰れないと言われていた大手の会社が倒産するなど、終身雇用の終わりを実感する出来事がいくつかありました。同時期にエンプロイアビリティという言葉に出会います。「雇用され得る能力」という意味です。会社に守ってもらうのではなく、自立することが大事だと思い、その武器として資格取得を考えました。診断士試験を知った時、経営全般が学べることから「これだ」と思いました。

――試験勉強開始から合格まではどれくらいかかりましたか。

試験勉強の開始時期は随分前になります。ちょうど試験制度の変更があった後の2001年から始めました。合格したのは2015年ですから、10年以上かかっています。1次試験は1回で受かるのですが、2次試験に苦戦し、5回目で受かりました。その間、仕事の繁忙期も重なり、数年間試験勉強から遠ざかる期間が2回ありました。

過去問集中×朝勉

――1次試験の勉強方法で工夫したことはありますか。

特別に工夫したことはなく、通っていた資格学校のテキストを読んで、過去問を少しやる程度でした。1次試験に関しては難しい感覚はなかったです。

――2次試験に合格した年はそれまでと比較して勉強方法を変えましたか。

以前は資格学校に通っていましたが、音声講座中心のカリキュラムがあったスタディングに変えました。ひたすら過去問を解き、講座の解説を聞いて復習することを繰り返しました。割り切って、知識を補充するためにテキストを深く読み直すことはほとんどしませんでした。完璧主義なところがあるので、過去問に絞って対策を取ったことはよかったです。振り返れば、それまでの試験勉強の蓄積から、ある程度知識が身についていたのだと思います。そのうえで、スタディングは的を絞って教えるスタイルだったので効率よく勉強できました。

――勉強時間にも変化はありましたか。

毎朝4時に起床して6時まで2時間勉強する習慣に変えました。平日はその時間に集中し、土日は多少時間を増やしました。早く起きる分、早めに寝ていましたので、肉体的な辛さはなかったです。

リラックスの中にあった執念

――受験期間が長期化するなかで、心理面の変化はありましたか。

資格学校に通っていた時は、「今回で受かる」という意気込みでかなり気合をいれていました。一方、合格した年は「受かればいいかな」くらいの気持ちでした。「何が何でも」という感じではなかったです。通学時代と比較して、費用負担も少なかったので、割とリラックスしていました。

――2次試験に合格した時の率直な気持ちは。

合格発表の日は出張中でした。営業している途中で、「そう言えば今日合格発表だったな」と思い出して確認しました。試験の手応えはあったのですが、そこまで期待していなかったのが正直なところでした。合格を知った瞬間はびっくりしました。

――振り返って、合格を諦めなかった一番の要因は何だったと思いますか。

「諦めたらもったいないな」と思っていました。コンサルタントは診断士資格がなくてもできますが、やはり「有ると無いでは違うな」と思いました。合格しなければ、いくら勉強が財産になるといっても、取れなかった現実は残ります。今までやってきたことが本当の意味で身にならないと思いました。貧乏性なのでしょう。「せっかくやったことが無駄にならないように」と思って諦めませんでした。



井上 雄介

井上 雄介 取材の匠メンバー、中小企業診断士
1983年生まれ。愛媛県松山市出身。大学卒業後、地元の情報通信系企業に勤務。工事管理業務を経験した後、経理業務に14年間従事、現在に至る。財務・会計以外の幅広い知識習得を目指し資格取得を決意。2021年度診断士試験合格。2023年2月中小企業診断士登録。愛媛県中小企業診断士協会所属。

拓け!中小企業診断士の扉~受験奮闘編~カテゴリの最新記事