【第1回 養成課程を選択するまでの道のり】

総合デジタルサービス企業に勤務しながら、中小企業診断士登録養成課程(以下、養成課程)を修了し、2024年5月に中小企業診断士登録された鈴木健一郎さん。現在は企業内診断士として現職のキャリアアップにつながる活動を精力的に進めている。第1回では現在のお仕事と中小企業診断士を目指したきっかけ、そして養成課程受験までの経緯についてうかがった。
現職での師匠との出会い、そこから迷いなく進んだ養成課程への道
現在、鈴木さんは新しい生活様式や働き方を実現する総合デジタルサービス企業に勤務しており、経営管理部のプロセス革新グループで管理職としてスタッフ部門の業務抜本改革を担っている。また、今年4月に新設されたばかりの組織長として、スタッフ職の高齢化が進み、将来の人員減が見込まれる中、より少ないリソースでも経営管理品質を維持向上できるプロセスを模索している。「全社的に業務簡素化を図り、社員ひとり一人が業務を楽に回せるようにしたい」と、彼を突き動かしているのは、その一途な思いである。
彼のそのような業務スタイルを築いたのも師匠と仰ぐ産業能率大学講師である日沖健先生との出会いがあった。日沖先生は東京都中小企業診断士協会城西支部に所属しており、中小企業診断士のキャリアや独立開業などに関する数々のリアルな実態を包み隠さず発信している。日本でもっとも中小企業診断士をよく知る中小企業診断士として、累計5,000名以上の中小企業診断士と人脈を築いている。その先生から社内の管理者研修を通じて直接指導を受けたことをきっかけに「自分が人生でもっとも影響を受けた人だった」と目を輝かせながら語る様子から先生との出会いがキャリアの分岐点となっている。そして、日沖先生から中小企業診断士を目指すなら「ぜひ養成課程がおすすめ」とアドバイスをもらい迷うことなく養成課程に進むことを決意したのだった。
仕事を続けながら通える養成課程機関の模索、そして選択
「養成課程で仕事を続けながら、無理なく通えるところって数えるくらいしかないんです」とあげたのが、東洋大学大学院、千葉商科大学大学院、城西国際大学大学院(以下、JIU)の3校で、3校とも2年間コース、キャンパスは都内近郊、土日が中心のカリキュラムと、条件を満たした養成課程機関であった。その中で、縁あってJIUに進むこととなる。決め手は2つで、まずはキャンパスが千代田区紀尾井町というビジネス中心地でアクセスしやすい立地。もう一つはITに強い中小企業診断士の育成に力を入れており、選択科目を履修することで、ITコーディネータの資格を取得できる。また、修了後のOB・OGによる人的ネットワークは今後の診断士活動には欠かせないアセットとなり、JIUのおすすめポイントの1つである。
ベールに包まれたJIU養成課程の受験
「JIUの受験申し込み期間は約4ヵ月に渡り、計3回実施されて、同期生は1回目と2回目の合格者が大半を占めた」と語ってくれた。また、事前の書類審査に加えて、受験当日のグループディスカッション、個人面談での様子について「グループディスカッションは、中小企業の伴走支援に関係するテーマとした内容で、個人面談は大学が求める人物像、中小企業診断士としての活動、診断士取得後の計画、論文課題、経済面・健康面・意欲面の確認などの質問でした」と当時の記憶を思い返しながら、親身になって語ってくれた。その中で、特に論文課題について厳しい更問があり、想定質問など入念に回答を準備するべきであると具体的なアドバイスがあった。

秋田 謙作 取材の匠メンバー、中小企業診断士
東京都出身・東京都在住。2022年5月中小企業診断士登録。プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)・ITコーディネータ(ITC)。大学卒業後、大手通信会社に約25年勤務。本業で培ったDX・組織人事などのスキルノウハウを活かし、診断士協会・実務補習の副指導員、東京都経営革新フォローアップ事業案件、葛飾区立の図書館にビジネスセミナー登壇などセカンドキャリアに向けて活動中。趣味はドライブ、テニス、ランニング。